奏でる人々

始業式


朝のHRも終わり、次は体育館への移動。

そのため廊下は人で溢れ返り、生徒のざわめきに紛れて時々、教師の怒鳴り声が聞こえて来た。


「夏バテか?」

「え?」

「いや、なんか天沢にしては珍しくぼーっとしてるから。」

「…そうか?」

「俺の気のせいなら別にいいけど…あんまり無理するなよ。」


集会中に倒れるとかベタすぎるからな、なんて笑ってはいるが一応友人なりに心配してくれているらしい。

「何だ、それ」と笑い返して、ようやく動き始めた人の流れに乗る。


「だけど休み明けの試験って嫌だよなぁ。」

「そうだな。」

「お前、勉強したか?」

「お前は?」

「おい。質問に質問で返すなよ。」

「してないのか?」

「…まぁ、ぼちぼち。」


傍から見れば中身のない、軽口の応酬。

それでも、テンポ良く進むだけで楽しく感じてしまう。



『休み明けのテストってだるいよなぁ。』

『……そうだな…』



同じ会話でも、こうも違う。


「あ。なぁ、天沢。今日昼までだろ?帰りに図書館寄って勉強しないか?」

「図書館か…」


その言葉を反芻し、何気なく斜め前にいた数人のグループを見る。

楽しそうに何かを話していて、その内の一人の横顔が


「…悪い。今日はちょっと用事がある。」

「そっか。」


そしてもう一度謝り、少し足を速めてその集団に近付いて行った。





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(…なぁ。)
(ん?)
(ちょっといいか?)

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嘘つき、ロンリー。