外伝奇集
もう一つの、第一話
一分一秒が運命の別れ道。
(いやはや、参ったな…)
こんなはずではなかった、と内心溜息を吐いた。
己の迂闊さを呪うべきか、それとも不運を嘆くべきか。
どちらにせよ、侍数人に追われている現状が変わることはないだろうが。
(実に、参った…)
道中遭遇した戦場。
常ならば嬉々として駆け回るところだが、後には大仕事が控えている。
そんな訳でそのまま素通りしようとし、そして失敗した。
(あぁ、なるほど…神殺しを目論んで罰が当たったと、そういう訳か…)
思わず笑いを噛み殺す。
その瞬間、どこからか喚声が上がった。
振り向きはしない。
どうせまた奴らが新しい獲物でも見付けたのだろう。
そう走りながら、ふと視界の端でアカシシに乗った奇妙な出で立ちの旅人の姿を捉えた。
(くわばらくわばら…)
願わくば、自分の後ろの侍共も引き付けてはくれやしないだろうか。
なんて、浅はかな望みを抱いたせいかは知らぬが、真後ろを走っていた女が生け捕られてしまったようだ。
短い悲鳴。
今度は自分の番か。
(…まったく、金にならん仕事はしたくないんだがなぁ…)
また溜息を吐く。
そして懐に手を差し入れ、
(!何だ…?)
ちりっ、と。
殺気とはまた違う、何かが肌を突き刺した。
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振り向いたのは、ほんの一瞬。
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嘘つき、ロンリー。