外伝奇集

あまごい


「うおぉ…どんぴしゃだ。」


軒下に駆け込んだ瞬間、降りだした雨。

それを見上げて、開きっぱなしの甲六の口を他の牛飼い達が笑う。


「アシタカ様の言う通り、早めに切り上げといて良かったなぁ。」

「だなぁ。」

「そういやアシタカ様はどうした?」

「確かさっき、ジコ坊の野郎と一緒に…お。」


噂をすれば…とそちらを見ると、駆け寄ってくる人影が二つ。

たったったっ、と雨音に紛れて足音も聞こえてきた。


そして、何やら言い争うような声も。


「だから早く戻ろうと、そう言っただろうが。なのにお前ときたら…」

「すまない。久し振りに二人きりだったので、つい」

「何が「つい」だ、確信犯め…あぁ、すまんがそこの場所、少し詰めてくれ。」

「へっ、へいっ!」


先客に気付いたケントが近くの牛飼いにそう声を掛ける。

するとすぐ二人分の空間が空き、ケントとアシタカは何とかそこに上手く収まることが出来た。


軒下に入ると同時に、アシタカは雨除けに掲げていた衣の露を払ってそのまま、それをケントの肩へ―…


「…おい。」

「ケント殿に風邪を引かれては困る。」

「馬鹿か、お前。上半身裸の分際で何を、」


問答無用とばかりに、さっさとその身を青い衣で包み込んでしまったアシタカ。

その出来栄えを一通り確認すると、満足そうに頷くのだった。


「これでいい。寒くはないか?」

「…まったく…」


最早反論する気にもなれないのか、ケントはされるがまま、呆れたように溜め息一つ吐き、懐から手拭いを取り出す。

そしてそれをアシタカの頬へと押し当て、伝う滴を拭い取った。


「お前こそ、風邪を引いたらどうする?」


そんな光景に、甲六の口がまたぽかんと開く。

だが今度は誰も笑うことは出来なかった。








あま

(相合い傘と、彼衣。)


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97500hitより。
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嘘つき、ロンリー。