物語を紡ぐ物語
番外編:そもそも、
一体、どういう方達なのか。
通夜にしては賑やかな席の、その真ん中辺り。
そこに、昼間負傷した仲間をここまで運んでくれた恩人達の姿があった。
周りの牛飼いらに絡まれるその若者二人を眺めながら、ぼんやりと酒を呷る。
友人、というより兄弟。
兄弟、というより親子。
親子、というより主従。
主従、というより…
(……飼い主と、犬?)
我ながら失礼なことを考えているなぁと自覚はあったものの、何となくそれが一番しっくりとくるような気がした。
そして一度想像してしまったそれは、なかなか振り払うことが出来ない。
そんな俺の視線の先で、強引に酒を勧められる飼い主を犬が必死に守っていた。
「私は大丈夫だよ、アシタカ。」
「しかし…」
「郷に入れば郷に従え、だ。折角だ、頂こう。」
「……はい。」
あまり納得のいかない様子の『アシタカ』に対し、困ったように微笑みかける青年は確か『ケント様』と呼ばれていたか。
旅人とは思えない、細身で色白の優男。
男であるのは間違いないはずだが、普段乱暴な女達に囲まれているせいか、その穏やかな物腰が妙に艶っぽく感じ、
「っ…!?」
「ん?どうした?」
ぞわり、と何か冷たいものが背筋を這い、傍らの酔っ払いが気付くほど身体を震わせてしまった。
辛うじて「何でもない」と仲間に返すと、芯から暖まるためにもう一度酒を呷ろうとして、そして噴き出した。
「ぶはっ…げほっげほっ!」
「うわっ何だよ!きったねぇな!」
「お!始めやがった!」
心配する声の一つもないまま、周囲は俺よりも腹おどりの方に夢中になる。
ようやく落ち着いたところで恐る恐る顔を上げれば、やはりこちらを睨むように見つめる『アシタカ』。
その右腕辺りに蛇のようなものが絡み付いて見えたのは、酒の呑みすぎだろうか。
そもそも、選択肢にありません。
(?どうかしたか、アシタカ。)
(…いえ。ケント様は私がお守りいたします。)
(え?)
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嘘つき、ロンリー。