若き参謀長の憂鬱
憂鬱
魔法使いに呪いを掛けられたとか何とかで少し前に国を出て行った王子。
それがこの度、呪いが解けたとか何とかで再び国に戻ってきた。
見た目は大して変わってはいなかったが、中身が別人だ。
誰に吹き込まれたかは知らないが、何故か今、俺に「戦争を止めろ」と詰め寄っている。
「…それ、よく参謀長である私に言えますね。」
「?お前だから言っているんだが?」
あぁ、本当に解っていないお人だ。
そう小さく漏らした溜息にも気付かず、王子は俺に愛の尊さを説く。
正確に言えば、呪いを解いたソフィーとかいう娘の素晴らしさだったが。
「ぜひ一度、ケントにも会わせたいものだ。」
「………」
そもそも『愛する者にキスされないと解けない呪い』なら、国内に数人いる自身の許婚で済ますことは出来なかったのだろうか。
ふと沸き起こる疑問に、「それで済むぐらいなら初めから呪いなど掛けられていない」と心の中で自答した。
また溜息。
「…分かりました。どこまでやれるかは分かりませんが、方々に掛け合ってみましょう。」
「!あぁ!頼んだよ、ケント。」
私も父上を説得してくる、とどことなく喜色を漂わせ、足早に執務室を出て行く王子。
その後ろ姿を見送って、頭を抱えた。
「……馬鹿王子が…」
いっそ誰かこの呟きを拾い、俺を不敬罪に問うてはくれないだろうか。
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お前なんて要らないと、そう暴君は言った
(そして、いとも容易く崩された幼き頃の誓い)
(俺はただ、あんたを守りたかっただけなのに)
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嘘つき、ロンリー。