大泥棒が暴く城の謎

酔狂


『ここはもういい。おぬしも行くべきところがあるだろう。』


撤退の準備もそこそこに、そう五ェ門に追い払われたのは数分前。

少し迷ったものの、結局次元は真っ直ぐに『行くべきところ』へと足を運んだ。


そして、やるべきことを。


「………これ……」

「遅くなっちまって悪かったな。」


謝罪と共にケントに手渡したのは、衛士隊の隊服。

「ついでに、こっちはお姫さんに返しておいてくれ」と冗談めかしてその頭にティアラを載せてやれば、妙に似合っていて思わず笑ってしまった。


だが散々求め続けたそれを今ようやく取り戻したケントにはそれどころではないらしく、自分の手元を見下ろすその表情は複雑そのものだ。


「泥棒の手伝いをしたこと、まだ落ち込んでやがるのか?」

「…手伝いなんて、俺は何もしていないだろ…」


いや、何も出来なかった。

そう苦々しく吐き捨てられた言葉の意味に、当の本人は気付いていない。


「それで、これからどうするつもりだ?」

「…あの老人の下で、一からやり直そうと思っている。とりあえず、これを着ることはもう二度とないだろうな。」


大人になったもんだと茶化すには少々ばつが悪く、次元は誤魔化すように数回咳払いを繰り返した。

恐らく『最後の未練』とやらは断ち切れたのだろう。


不意にケントが顔を上げる。


「あんたの言葉も、少し考えたんだけどな。」

「何?」

「『弟子にしてやる』って話。」


そして一瞬呆気に取られてしまった次元の前で、ケントは初めて悪戯っぽく笑ったのだった。





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(…そういや『花嫁を頂く』って予告があったな。あれ、まだ有効か?)
(え?)


そんな泥棒一味のガンマンと、ティアラを被った青年の物語。

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嘘つき、ロンリー。