大泥棒が暴く城の謎
死角
失敗どころか、伯爵により手痛い返り討ちに合ってしまった三日前。
ようやく自力で起き上がれるようになったルパンは、三日分の遅れを取り戻そうと慌ただしく準備に取り掛かっていた。
「ケントちゃーん。そこの金槌、取ってくんない?」
「誰が泥棒の手伝いなんてするか、というか『ケントちゃん』って呼ぶな!」
「あれま。」
フンッと分かりやすくそっぽを向く様子に思わず笑っていると、飛んできたのは望み通りの金槌。
それを危なげなくキャッチすれば、もうそこにケントの姿はなかった。
「嫌われてるねぇ。」
「そりゃそうだ。」
ルパンの言葉に次元が相槌を打つ。
何せ相手は「衛士はこの国の誇りだ」と恥ずかしげもなく言ってしまうような甘ちゃんで、対するこちらは泥棒稼業だ。
そう簡単に「馴染め」と言う方が無理だろう。
だがすでに拘束を外してやっているにも関わらず、ここに留まっている辺り、ケントにも何か思うところがあるようだが。
「まぁ、ああやって人は大人になっていくもんよ。」
「へっ、解ったようなことを言いやがる。」
「そりゃあ俺ってばもう立派な大人ですから?」
「いい大人が花火でドンパチやろうってか?」
「うるへー!いいから口より手を動かせよ、手!」
なんてやってる間に仕込み花火の準備も最終段階。
不意に、それまで沈黙を守っていた五ェ門が口を開いた。
「しかし、ルパン。」
「ん?」
「ケントの最後の未練を断ち切るにも、あの衛士とやらの服は早々に処分すべきではないか?」
女子供に特に甘いこの侍の中で、どうやらケントは子供に分類されているようだ。
「それとももう処分してしまったのか」とやけに気遣わしげに問う五ェ門に、ルパンはきょとんと瞬きを繰り返した。
「れ?あの服は次元に渡してたろ?」
「何…?」
ルパンの言葉に、信じられないものを見るかのような視線が次元へと向けられる。
ばつが悪くなった次元は顔ごと目を逸らし、帽子の鍔を僅かに引き下げるのだった。
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(悪いオトナだねぇ、次元ちゃん。)
そして世界一の大泥棒は笑った。
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嘘つき、ロンリー。