天空の城を目指す物語
第五話
「やっぱ軍服の方が好きか?」
どこか聞き覚えのある問いに思わず溜息を吐いた。
「いや、好きとか嫌いとかいう問題じゃなくて」
「ま、確かに軍服の方がエロくてケントに似合うけどな!」
……どいつもこいつも、軍服を何だと思ってやがる。
未だ空賊の服を強要してくる男を無視し、俺は今現在の状況に頭を抱えたくなった。
「何でこんな狭い場所に男二人…」
俺の呟きに答えるためか、男が肩口から顔を出す。
何もせずとも密着する距離なのに、あえて密着してくる必要性が分からない。
「本当は見張りって一人なんだけどさー…」
「じゃあ俺かお前のどちらかでいいだろ。」
「いや、でもほら、俺ってケントの世話を任されてるから。」
「………」
理由になっているような、いないような。
もはや考えることも面倒臭くなり、とりあえず「そうか…」とだけ返しておいた。
俺はこの船に乗って、抵抗の無意味さを学んだ。
すると調子に乗った男が、背後から抱き込むような形で俺の腰に腕を回す。
「………おい。」
「だって寒いし。」
「俺はカイロか、ってコラ。」
寒い寒いと言いつつ、俺の服の中に侵入しようとする男の手。
それを牽制するのに必死で、俺は近付いてくる人の気配に気付けなかった。
「交替だ、よ……」
「あ」
「………」
「……おい、目を逸らすな。逃げるな。」
引き返そうとするパズーの襟を掴み、俺はまた溜息を吐いた。
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あぁ、幸せが逃げていく…
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嘘つき、ロンリー。