天空の城を目指す物語

そしてしずかなはじまり


※オリキャラ♀視点。









きっと私達は生涯、心を通わすことなどないでしょう。








「私のこと、世間知らずな娘だと思われているのでしょうね。」


数回目のお茶会の席でそう切り出せば、ムスカ大佐はいつもの澄まし顔を僅かに歪ませた。

そして怪訝そうに私を見る。

私は構わず言葉を続けた。


「でも私にだって、矜持はちゃんとありますの。」

「…何かお気に召されませんでしたか?」


苦笑しながら、それでも戸惑いは上手く隠し切れていない。

その様子に何となく満足感を覚えた私は満面の笑みで返した。


「他に好いた方がおられるのでしょう?」

「まさか。」


即答。

だからこその本心だと言われれば納得もしそうだが、生憎私にはそうは思えない。


それに『女の勘』が告げる。


「愛しいのは貴女だけですよ。」

「まぁ、白々しいこと。」


クスクスと笑えば、大佐は「困りましたね」と小さく漏らした。

だがつられて笑うところを見ると、どうやら本来の余裕を取り戻してきたようだ。


「別に構いませんのよ。所詮、形だけの婚姻ですもの。」


子さえ成せば、後はお互い縛られる必要なんてない。

政略結婚とはそういうものだと理解している。


そしてそれに不平不満もない。


「ただ私が許せないのは、貴方が嫌がる素振りすら微塵も見せて下さらないことですわ。」


私など居ても居なくても同じこと。

障害にすらなりえないと思われているのなら、それは屈辱以外の何物でもなかった。


「…考えすぎですよ。」

「そうかしら?」


なら貴方は何を考えていらっしゃるの?


そう問えば、大佐は何か含むように笑った。







数ヶ月後。

ある『計画』の終了後に、と予定されていた私達の婚姻は、彼の消息不明の報告と共に自然解消された。


その『計画』が何だったのか、私は知らされていない。


「初めまして、ミス。」


そしてさらにそれから数ヶ月が経ち、


「私のことはどうぞ、ケントとお呼び下さい。」


私は彼と出会った。




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貴方も『誰か』と巡り逢えましたか?


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嘘つき、ロンリー。