紅い飛行艇乗りの物語

第三話


気付けば、雁字搦め。










「…編隊については以上だ。何か質問はあるか?」


そう言って隊員達を見渡していると、少し離れた場所に佇むフェラーリンに気が付いた。


「ないな?じゃあ各自持ち場に着け。」


おざなりに締めくくり、返事も待たずに歩き出す。

落ち着きがないことは自分でも分かっていて、思わず苦笑した。


「どうだった?」

「…忠告はしておいた。」


問えば言葉少なに答えるフェラーリン。

珍しく俺と視線を合わせないところを見ると、どうやら予想通りの結果だったようだ。


「ま、豚が素直に人間の言うことを聞く訳ねぇか。」

「ジュニア…」

「今のところこっちは予定通りだ。ヘマすんなよ、フェラーリン。」


何かまだ言葉を続けようとするフェラーリンに、持っていた風よけのゴーグルを手渡してそれを封じる。


「よろしく伝えといてくれ。見送りに行けず悪かった、ってよ。」

「……あぁ、分かった。」


大人しく受け取ったフェラーリンは最後まで俺の顔を見ず、そのまま背を向けて行ってしまった。

その後ろ姿を見送り、軽く背伸びをしてみる。


「…さて、と。俺は優雅に遊覧飛行と洒落込みますかね。」


どうせ作戦は失敗に終わる訳だし。


誰にも聞こえぬよう呟いたそれは、決して『ポルコ・ロッソ捕縛作戦』部隊長の言葉ではなかった。




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空だけは自由だ。

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嘘つき、ロンリー。