河神様とある人柱の話

佳話


“どぼん”


それはとても小さな音だった。

どうかすればうっかり聞き逃してしまいそうなほど、小さな小さな水音。


だが続けざまに響き渡った幼い悲鳴に、嫌でもそれと認識させられた。



“何かが、落ちた”と。



「っ、×××っ!」


嫌な予感がして、その名を叫びながら駆け出した。

先程までそこで遊んでいた子どもらの、数が足りない。


そしていくら探しても、どこにも見慣れた顔が見当たらなかった。


「×××っ!×××っ!」


そう深くはない水深。

そう激しくはない水流。


しかし幼子を一人飲み込むには、それで十分だった。





--------------
あぁ、神様!


(妹の名をただひたすら叫び続ける兄)
(水面を、白い影が過ぎった)

*前次#

戻る

嘘つき、ロンリー。