慰労&感謝祭

頼むぜ、相棒!


ドーラ一家の長男、シャルルは温厚な男だ。

それなりに長い付き合いになるが、怒ったところをほとんど見たことがない。


例えば俺と相棒がイタズラを仕掛けても、大抵の場合は笑って済ませてしまう。

いちいち声を荒げる次男のルイとはえらい違いだ。

お前、少しは兄ちゃんを見習え。


でもあまり反応がないのもそれはそれでつまらないので、いつまでもからかい甲斐のあるルイくんでいて下さい。



…っと、話が逸れたな。

つまり結局何が言いたいかというと、



「なぁ、怒ったシャルルの対処法って知らねぇ?」


隣にいたコにそう問い掛ければ、無言で首を横に振られた。

そして逆に「何で怒らせたんだ?」と目で訴えられる。


「仕方ないだろ…まさか、あんなところに地雷があるなんて、思いもしなかったんだから。」


そんな俺は現在、物陰に潜伏中。

その視線の先では件の長男坊が鼻息荒く、三男のアンリに俺の行方を問い詰めていた。


残念ながら今回は俺の単独犯で、アンリは何も知らない。

ついでに言えば、俺もわざとやった訳じゃないんだけどな!


「ケント?ケントがどうかしたの、兄ちゃん。」


キョトンと不思議そうに首を傾げるアンリはなかなかの大物だと思った。

他の連中はあのシャルルがキレてるってんで戦々恐々、触らぬ神に何とやらで近寄ろうともしない。


気付けば俺の隣にいたはずのコもいない。


(あの野郎…!)


こうなれば頼みの綱はアンリだけだ。

というか先程うっかり顔を合わせてしまい、奴は俺がここにいることを知っている。


事情を知らないため、うっかりシャルルに教えてしまうかも。

それだけは阻止せねば!


シャルルがこちらに背を向けたところを見計らい、危険を承知で物陰から顔を出した。


「あ…」


反射的に声を上げるアンリに向けて、しっ!と口の前で人差し指を立てる。

シャルルはまだ気付いていない。


そして(言うな)と声には出さずに口だけ動かせば、しばしの沈黙後、「心得た!」とばかりにアンリは顔を輝かせた。


さすが相棒、これでひとまず一安心…



「俺も好きだ、ケント!」



あ、このバカ!






頼むぜ、相棒!

(アンリってめぇ…!)
(ケントー!)
(ぎゃあ!見つかったじゃねぇか!)
(じゃあこのまま愛の逃避行だな!)


2013.9.30

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嘘つき、ロンリー。