慰労&感謝祭
絶対、約束ですよ?
「ユパさま!」
少々高めの声に、ぱたぱたと駆け寄って来る足音。
それらを耳にし、「来たか」と苦笑しながらユパは振り向いた。
「今日こそはわたくしに剣をお教えくださいまし!」
まるで縋るようにユパのマントを掴んだのは、風の谷のケント。
ユパが名付けた子どもの一人だ。
今年で齢十ばかりになるというのに、やや小柄な体格のせいかそれよりも少し幼く見えた。
「剣はまだ早いと思うのだが…」
第一、そなたに剣は似合わない。
なんて心の中で続けられた言葉が届くはずもなく、「いつもそればかり!」とケントは憤る。
どちらかといえば、ユパは後者に重きを置いていたのだが。
「ぼくっ…わたくしは!早く強くなって、姫様とこの谷をお守りしたいのです!」
精一杯の背伸びがひどく微笑ましい。
だがここで笑ってしまえば、ケントがますます機嫌を損ねることが分かっていたユパは少し考える素振りをして見せる。
「そうだな…では、そなたがもう少し大きくなったら相手をしよう。」
そしてユパのその言葉をケントは決して疑うことなく、目を輝かせながら大きく頷くのだった。
絶対、約束ですよ?
(谷を訪れる度に繰り返されるやり取り)
(それを少し楽しみにしているなどと、ユパは絶対に言うことが出来なかった)
2013.9.28
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嘘つき、ロンリー。