竹久と碧空二年03


「おい、玄兎。お前、最近竹久なんかとよくつるんでるみたいだが、年下に媚びを売って情けないと思わねぇのか?」


何だかドでかいヤマが近寄ってくんなぁ…と思っていれば、案の定それは黒田先輩だったようで、開口一番にそんなお叱りを受けてしまった。

その左右を陣取っているのは恐らく、時山先輩と大下先輩だろう。

顔がよく見えないのでどっちがどっちなのかは分からないが、「黒田さん、それ言ったら俺らだって…」と声を聞いた感じ、多分向かって右が時山先輩だ。


すると、推定時山先輩の一言が切っ掛けになったのか、何やら揉めだしてしまった三人、に放置される俺。

しばらく待ってみたものの、その後一向にお呼びが掛かることはなく、仕方なく「以後気を付けます」と声を掛けて、その場を後にすることにしたのだが―…





「別に、媚び売ってるつもりはないんだけどなぁ…なぁ、竹久くん。」

「え?いや自分、タケヒサクン、ではないんですけど…?」

「あれ?」


斜め前を歩いていた背中に話し掛けると、どこか困惑したような返事が返ってきて、つられるように俺も首を傾げた。

学校を出た時には確かにそれは竹久くんだったはずだが、いつの間にか通りすがりのバンドマンにすり替わっていたらしい。


見知らぬ不良に付きまとわれてさぞ怖かったのだろう、足早に走り去るその後ろ姿を「悪いことしたなぁ…」と苦笑しながら見送る。


「まぁ、通りで『竹久くんにしては身長あるなぁ…』とは思ってたけど。」

「おい玄兎!」

「あ、今度こそ間違いなく竹久くん。」

「テメェ…振り向いたらいねぇから、どこに行ったのかと思えば…」


ちょっと目を離した隙に何してやがる、と怒りながらズカズカとこっちに向かってくる竹久くん。

確か前に北野くんも、似たようなことを竹久くんに対して言っていたような気がするが、それを口にすれば火に油を注ぐ結果になるのは分かりきっていたので黙っておいたが。


『竹久くんは、ちょっと目を離すと何するか分からない時があるからね…玄兎さんが一緒だと安心だよ。』


なるほど、俺達は意外と似た者同士で、だからついついつるんでしまうのかもしれない。


「おい、聞いてんのか?」

「ごめんごめん。あ、そうだ。ちょっとそこの公園寄ってかね?」

「あぁ?」

「確かたこ焼きか何かの屋台が出てたっぽいからさ。ほら、手間掛けさせたお詫びに奢るよ。」

「…………ちっ。」


舌打ちを了承と受け取り、今度は俺が竹久くんの前を歩く。

竹久くんもちゃんと後から着いてきてくれているようだ。



が。



「………おい。」


目当ての屋台に到着するとそれは意外にオシャレなクレープ屋で、竹久くんから「お前、いい加減眼鏡かけろ」と呆れられてしまうのだった。





共犯でよろしく

(不良が二人、クレープ二つ)(少々居心地は悪かったものの、クレープ自体は美味しかったので今度北野くんと彼女ちゃんに教えてあげようと思う)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。