竹久と碧空二年02(+荻須)
ここ最近、やたら馴れ馴れしく絡んでくる二年がいる。
『荻須くんだっけ?黒田先輩から話は聞いてるよ、よろしくねぇ。いやぁ、でも本当、見事に真っ赤っ赤だなぁ!』
玄兎と名乗ったそいつは恐らく、番長が差し向けた一年の教育係のようなものなんだろう。
その証拠に、俺といる以外ではあの格下の下っ端くんと一緒にいるのをよく見かけた。
「おーい?竹久くーん?何怒ってんのー?」
「っ、うるせーな!ついてくんじゃねーよ!」
だが、やはりヘラヘラ笑うその姿はあんまり強そうには見えない。
それにどうやら下っ端相手に手を焼いているらしく、教育係としては「だせーぜ」の一言だった。
ここ碧空高校は少数精鋭だと、前に番長はそう言っていたが。
「ということでいっちょ、やろうぜ!センパイよぉ!」
「うぉ、びっくりした…荻須くん?どったの、急に。」
「……………」
きょとんとした顔で振り向いたセンパイに、つられるように足を止めた下っ端。
その顔が何やら複雑そうに歪んでいたのが少し気になったものの、まぁこの際どうでもいい。
「やろうって、何やんの?」
「何って喧嘩に決まってんだろ!」
「えぇ?喧嘩?何でまた…」
「いくらアンタが番長命令で俺らの教育係やってるって言ってもよー、やっぱ自分より弱い野郎に従うってのはどうも気に入らねー。ってことでその腕前、見せてもらうぜ!」
さぁ、来やがれ!とファイティングポーズを取れば、玄兎は少し困ったように首を傾げながら下っ端を見る。
「教育係なんて俺、北野くんに頼まれてたっけ?」
「…ばかの言うことなんてほっとけ。」
「オラオラ!どうした、センパイ!俺が怖ぇーのか!?」
「いや、俺らって仲間なワケだしさ、喧嘩なんて止めとこうよ。」
「そんなだせー言い訳は通じねーぜ!それにもうアンタだけだ!仲間内でやってねーのは!」
「え、マジで?」
「あぁ…このばか、あのばか女ともやりあったらしいぜ。」
「うわ、それはそれですごいなぁ。」
「来ねーならこっちから行くぜ!」
「あ、ちょ、待っ」
慌てたように玄兎は何かごちゃごちゃ言っていたが、構わず拳を振り上げて飛び掛かる。
その後ろで下っ端が大袈裟に溜め息を吐いていたのも気になったものの、まぁこの際どうでもいいことだった。
決闘は夕陽の中で
そして気付くと荻須は保健室のベッドの上にいたのだった。
(!俺は負けたのか…?くそっ、人を見た目で判断するなんてだせーぜ、極めつけにだせー…)
(いやぁ、助けてくれて本当ありがとう竹久くん。)
(……別に。)
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嘘つき、ロンリー。