若狭と腐れ縁03


※真一郎がタイムリープした後の話。










ここ数日上機嫌だったワカが今、見るからに不機嫌面で黙々とミット打ちをしている。

他練習生達はその様子を恐ろしげにしながら遠目に眺めていたが、ベンケイにはそれよりももっと恐ろしいことがあった。


「玄兎が怒るなんてよっぽどのことだぞ。」

「………」

「オマエ、本当に何したんだ?」

「…………」


これまで何度となく繰り返してきた問いに、ワカはやはり答えない。

こんな時いつもなら代わりに返事をする男も、今ここにはいない。


『螺愚那六』『煌道連合』と敵対していた頃から、常にワカの側に侍っていた玄兎のことをベンケイはよく知っている。

『黒龍』結成時だって、何か言いたげにしながらも玄兎はそこにいた。


そしてつい先日、同棲することになった二人から引っ越しの手伝いをベンケイは頼まれたはずだった。


『悪い。引っ越し、なくなったから。』


その時何があったのか、詳しくは知らない。

ただの痴話喧嘩なら気にも留めない。


だが、それを切り出したのが玄兎の方だったということが、今目の前のワカが一人でいるという見慣れない光景が、何となくベンケイには恐ろしくて仕方なかった。


だから不安に駆られ、つい同じ質問を繰り返す。


「……んなもん、こっちが知りてぇよ。」


そしてようやく口を開いたかと思えば、ワカはそう小さく吐き捨てたのだった。




【トマリン】
石言葉(潔白)


---------------
元拍手お礼文

*前

戻る

嘘つき、ロンリー。