柳と後輩01
「玄兎くんが一番好き。」
そんな熱烈な愛の告白に対し、俺の身体は一瞬にして凍りついた。
そして次の瞬間には何の躊躇いもなく、その小さな女神の前へと跪いて目線を合わせる。
「…彩ちゃん。頼むけぇ、そういうことは冗談でもお兄ちゃん達の前では言わんでね。勿論、おやっさんにもじゃ。」
彼女を溺愛している人々が聞いたら、問答無用で殺されるのは確実。
いや、もしかしたらその前に、あのおぞましいご奉仕タイムが組み込まれるかも。
そんな生き地獄、死んでもごめんだ。
なんて俺の必死さが伝わったのか、彩ちゃんは笑いながらも「言わんよ」と約束してくれた。
「だって玄兎くんのカッコイイ顔がぼこぼこになるの、イヤじゃもん。」
「…そりゃあ、どーも。」
「それに玄兎くん、友達の間でもすっごく人気あるんよ。」
「へぇ?」
その言葉に思い出したのはつい数分前、彩ちゃんを迎えに行った公園でのこと。
そこに集まっていた女の子達は確かに何となくザワついていたように思う。
だが小学生にモテてもなぁ…と苦笑しつつ、とりあえず心に余裕が戻ってきたところで立ち上がった。
「でも大丈夫。玄兎くんにはちゃんと彼氏がおるって、みんなには言うといたからね!」
「へぇ………………かれし?」
そして再び固まった。
「玄兎くん、柳のお兄ちゃんと付き合っとるんじゃろ?」
「…それ、誰が言いよった?」
「久司くん。」
(あんのおしゃべりがぁ!)
というか別に付き合っている訳ではない。
断じて違う。
そりゃあ現役の『蛇道神』時代に、酔った勢いでばっちり既成事実を作られてしまったが。
その後も半ば強制的に関係は続き、谷口くんにも「諦めろ」とやけに深刻な顔付きで言われてしまったが。
「あーやー!」
「あ、お兄ちゃん!」
弁解する間もなく、駆け寄っていく彩ちゃんの背に思わず「あ」と手を伸ばした。
その先には我らが大将、大友勝将と廣島連合の面々。
どうやら待ち切れずに勢揃いで迎えに来たらしい。
いや、卑威巣斗が来ていないだけマシかと苦笑した矢先、
「…遅かったのぉ、玄兎。」
目が合ってしまった。
まるで蛇に睨まれた、
(単車転がしとる時は男らしくて恰好ええのに、)
(まさか小学生相手に嫉妬するなんて…!)
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嘘つき、ロンリー。