柳と後輩02
「ねぇ、玄兎くん。聞いとる?」
最近、我らが女神を筆頭に女の子というものがよく分からない。
俺ももう年なんかのォ…なんて現実逃避に親父臭いことを考えていると、再度数子ちゃんから返事を催促されてしまった。
「あー、聞いとるよ。ちゃんと聞いとるって。」
本当に、女の子はよく分からない。
数子ちゃんが銀次郎のことを好き、というのも分からない話だが、それよりも何よりも、
「じゃけど、はァ、その前に一つえぇかな?」
「?なぁに?」
「何でそれを俺に相談すんの?」
明らかに人選ミスだと思うのだが。
そう進言すると数子ちゃんはキョトンとした顔つきで、不思議そうに首を傾げた。
いや、首を傾げたいのはこちらの方だ。
恋する相手は元暴走族、ということで色々と不安があるのは分かる。
分かる…が、そんなカップルはファミリーの内外を見渡せば山ほどいるではないか。
「というか、身近にもっとえぇ人がおるじゃあないの。そういうのはお袋さんに言いんさいや。」
同じ卑威巣斗に惚れた女同士だ、少なくとも普通の母親よりは理解がある、はず。
そこであえて俺を選ぶ必要はない。
あるとしたら…何だろう?暇そうだったから、とか?
「だって、お母さん達の誰に相談しても結局はお父さんに筒抜けになるんじゃもん。お父さん、こういう話にうるさいけぇ。」
「あー…そりゃあまぁ、娘を持つ父親としては当然じゃあ思うど。」
「その点、玄兎くんじゃったらちゃんと内緒にしてくれるじゃん。」
「内緒…っちゅうか俺、あの世代の人達にツテもないけぇね。」
「あと、そういう彼氏がおって歳が近いのって言ったら玄兎くんだけ」
「はい、ストップ。」
何だろう。ひどいデジャヴだ。
「かれし?」
「え?だって、やな」
「あ、うん。もうえぇから。分かったから。」
何か不吉な言葉が聞こえそうになって、慌ててそれを遮った。
そして頭を抱える。
一体この話、どこまで広まっているのか。
いや、そもそも小学生の彩ちゃんがそれを鵜呑みにするのは分かるのだが、数子ちゃんはもう中学生?高校生?どちらにせよ、疑うことを覚えた方がいい。
俺とあの人は断じて付き合っていない。
(とりあえず久司のガキゃあ、よいよ、いっぺん本気でシメたろうかいのォ…)
そんな算段を内心企てていると、頭を抱えたままの俺を心配したのか、数子ちゃんは気遣わしげに俺の肩を叩いた。
「大丈夫じゃ、玄兎くん。柳さんにはちゃんと許可もろうとるから。」
「………」
それは一体、何の許可なのか。
確かめるよりも先に脳裏を過ったのは、いつぞやの柳さんの姿だった。
まるで蛇に追い詰められた、
(二人でおって誤解されたら大変じゃもんね。)
(誤解…いや、それこそ数子ちゃんの誤解じゃけぇ。)
(というか、柳さんも否定せぇよ!)
*前
戻る
嘘つき、ロンリー。