泥棒一味と何でも屋02


「本当によろしいんですの、ミスター?」

「えぇえぇ!勿論ですとも!レディを喜ばせるのも紳士の務めですからね。しかし、嘆かわしいことに最近では―…」


なんて至極残念そうに首を横に振って見せながらも、ちゃっかりと傍らの美女の腰に腕を回しているその姿に、「本当に嘆かわしいことだ」と内心溜め息を吐き出した。


(まさか同じ手に引っ掛かるとは…)


確かに今回の標的は「かなりの女好き」だと事前に情報を得ていたが、それにしてもあまりに単純すぎやしないだろうか。

しかも、相手が「女装の男」だとも知らずにだらしなく鼻の下を伸ばすその様子に、いっそ同情したくなる。


「おい、準備はいいか?」

「…あぁ。五エ門は?」

「先に配置に着いてる。向こうはルパンの野郎に任せて、こっちはこっちでおっ始めるとしようぜ。」


次元に促され、つられるように腕時計に視線を落とせば、やはり予定より少し早かった。


「…………」

「何だ?」

「…いや、別に。」


今のところ計画は順調に進んでいるが、前回はこの辺りで『邪魔』が入ったな…と少々縁起でもないことを考えてしまった。

とも言えず、ただ黙って周囲を警戒するだけに留めた。


『冗談じゃねぇ。不二子が絡むとろくなことになりゃしねぇよ。なぁ?』

『あぁ、全くだ。』

『何よ。それはこっちの台詞よ!』

『まぁまぁまぁまぁ。』


苦笑混じりに双方を宥めたルパンはその後、不二子を連れてどこかに行ってしまったが、戻ってきた時には一人だった。

その間、どういう取り決めが交わされたかは知らないが、あの女泥棒がそう簡単に引き下がったとは到底思えない。


『んじゃま、そーゆーことで。改めてよろしくなぁ、玄兎?』


そして何より、あの時のルパンの笑み。

嫌な予感が、する。






「―…それじゃあ約束通り。今回の取り分20%に加えて、次は玄兎を優先的に使わせてもらうわよ。」


無事に一仕事終えて拠点に戻るとそう不二子に出迎えられ、「オーケー、オーケー」と笑って返したのは、当然の事ながら天下の大泥棒ただ一人だけだった。




嘆く暇はなかった

(いや、「オーケー」じゃないだろ。次の仕事の話なら、ちゃんと事務所を通してくれ。)
(なんかアイドルみてぇだな…)
(ツッコむところはそこか?いや、それよりもおぬし、フリーの何でも屋ではなかったのか?)
(これでも一応会社勤めだ。)


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嘘つき、ロンリー。