銀次郎とツレ03(+卑威巣斗)


お好み焼き屋『お修』にて、再び正座する玄兎の姿があった。

ただし今、それを見下ろしているのは銀次郎ではない。


「流石にはァ、今回のはやり過ぎじゃわい…」


玄兎が何かしら銀次郎を怒らせる度、いつもならそのの味方をするはずの江田が珍しくそう言って眉を顰めてみせる。

二人の周囲を取り囲む他の卑威巣斗の面々もまた珍しく、江田の意見に同意するように腕を組んで「うんうん」と頷いてみせた。


それら全員どこかしらの怪我を負い、ボロボロになって疲れきっているのは、つい数分前まであの憎き廣島連合を相手に乱闘騒ぎを起こしていたせいだ。


特にトップ同士の戦いはいつになく熾烈を極め、警察が到着してなお、両チームの仲間達がそれぞれ止めに入ってもなかなか止まらなかったほど。

連合の大友勝将の化け物っぷりは元々周知の事実ではあったが、今日の銀次郎はそれをも上回る―…


「別に、あんなァはほんの冗談じゃしぃ…」

「お前が言うと冗談に聞こえんのんじゃいボケェ!」


ふて腐れたようにそっぽを向いた玄兎に、とうとう我慢ならなくなった猿藤が怒鳴り付けた。

隣にいたクチビルの色が変な奴が「まぁまぁまぁ」とそれを宥める。


『銀次郎が卑威巣斗に入れてくれんのんじゃったら、ワシゃあ廣島連合に入るだけじゃけぇのォ!』


銀次郎の特攻服を着たまま、玄兎がそう声高々に宣言した瞬間の、あの銀次郎の顔。


『な、なんならぁ、このぶっさいくゥ!』


もうこれ以上歪みようのないほど恐ろしげな形相と化し、あの勝将でさえ怯えを見せたほどだ。


ちなみに当の銀次郎は『お修』に戻ってきてすぐ、「ちっと頭ァ冷やすわい…」と一人先に帰ってしまった。


「…とにかく、後でちゃあんと銀ちゃんに謝っちゃりぃよ。」

「えー…」

「ワシらもついていっちゃるけぇ、の?猿藤。」

「ふん、しゃあないのぉ…」

「うーん…」

「じゃったらワシもお供するっスよ、玄兎くん!」

「あぁ?お前が行ったところで何の役に立つんならァ?」

「はァ?何スか、小山さん。喧嘩売ってんスか?」

「あー…」


誰の説得にもいまいちの反応を見せる玄兎。

と、そこでついにあの男が動き出した。


「玄兎。」

「うん?」


呼ばれた名前につられて玄兎が顔を上げると、ぽんっとその頭に黒崎の手が乗せられる。

そして、



「銀ちゃんにちゃんと謝ったら、また単車でどっか連れてってやるどォ。」

「!分かった!ワシ、謝ってくるわい!」

「「「ちょ、待てやぁっ!!」」」


その後、黒崎と連れ立ち、嬉々として『お修』を出て行こうとする玄兎を、卑威巣斗総出の全力で引き留めるのだった。





反省のない末っ子

(そして、振り出しに戻る?)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。