重隆の幼馴染04


玄兎という男に「借り」があった。

当の本人は覚えていないようだったが、真木にとってそれはとても重要なことだった。


「借り」は返さなければならない。


同じく「借り」があった京谷は先の事件で刑務所に行ってしまっていたが、代わりにその弟の重隆がいて、さらに都合の良いことに玄兎はその幼馴染で常に重隆と行動を共にしている。


だから二人がいるグラムゼロに入れば、その後の六鬼會復活に手を貸せば、まとめて「借り」を返すことが出来ると、真木はそう思っていた。


が、目的を果たし、チームを抜けた後も妙に玄兎のことが気になって仕方がないのは何故か?


『…オメェは何だ?玄兎の保護者のつもりかよ?それともまさか「惚れてる」とか言わねぇだろうな?』


そして苛立たしげな重隆の言葉を電話越しに聞いた瞬間、真木は急に目の前が拓けたような気がした。


何というか、腑に落ちた。

「玄兎はゾクには向いていない」「チームから抜けさせろ」と、自分が重隆に再三要求した理由はきっとそれに違いない、と。


(なるほど…これが「父性」というやつか……)


子どもを悪いお友達から引き離そうとする保護者、という構造は確かに現状にぴったり当てはまる。

しかし、当の玄兎自身が重隆の下に戻りたがっている以上、これ以上の介入は逆効果だろうと判断した真木はひとまず玄兎を帰すことにした。


勿論、玄兎の更正を諦めてはいない。


何とか玄兎が自分から、重隆から離れるように仕向けなければ。


(となると、ここは釣りに誘うのが一番だな…)


自分も今ハマっている、釣りの力は偉大だ。

と全幅の信頼を以て実際に何度か玄兎を連れ出してみたものの、どの釣り場でも高確率で桃浜の美咲と遭遇してしまい、その度に絡まれて面倒なことになった。

直接の面識はないらしいが、玄兎も一応六鬼會だ、そのため美咲を前にして顔を引き攣らせていた。明らかに失敗だった。


残念ながら釣り以外に何も思い付かなかった真木は、ならば…と玄兎に行き先を任せてみると、今度は必ずと言っていいほど行く先々に重隆の姿が。


『まぁ、ほら、あれだよ。重隆とは昔から一緒にいるからさ、思考回路が似てるっていうか…どうしても行動範囲が被っちゃうんだよなぁ…』


鉢合わせする度にその場に漂う微妙な空気に、やはり玄兎の顔は引き攣っていた。

別にそんな顔をさせたいわけではない。


それから真木は考えた。

何か他に良いところはないか。


なるべく邪魔が入らず、玄兎と二人でゆっくり出来るような場所は―…



「……うん、あのさ真木クン。俺も今度、城島クンとかからちゃんと情報収集しておくからさ、次から遊びに行く時はまず一緒に打ち合わせしようか。」


とりあえず雑誌の『オススメ!デートスポット特集』を参考にするのはもう止めてね。

と苦笑する玄兎はカップルだらけの店内で少々居心地が悪そうだったが、それでも間違いなく笑ってはいたので、ひとまず真木はそれで満足することにしたのだった。




迷走、再び

(別に聞きたかねェけど、オメェ、真木の野郎といつもどこで何してんだ?)
(いやぁ…正直俺もよく分かんないわ…)(と首を傾げる幼馴染コンビ)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。