場地と参番隊01


※原作軸過去(東卍)。










東京卍會壱番隊副隊長・松野千冬の目下の悩みは、自隊の隊長・場地と参番隊構成員・玄兎の二人のことである。


『参番隊?あぁ、通りでバカそうなツラしてると思ったぜ。』

『…あ?』


恐らく場地に悪気はなかっただろうし、玄兎もつい「バカ」という言葉に過剰に反応してしまっただけだろう。

だが千冬の知る限り、それが二人の最初の会話であり、今のところ最後のやりとりだった。


とはいえ、本来ならば所属も立場も違う二人が関わり合うことなどほとんどなく、なので仮に険悪な仲になったとしても気にする必要もないはずだった。

それが参番隊の隊長、副隊長が共に少々アレなために隊同士の情報伝達などを玄兎が担うこととなり、必然的に場地も千冬も玄兎と話す機会は増える一方で―…



『松野、ちょっといいか?』

『千冬。オレは、あー…ちょっと用を思い出した。行ってくるわ。』



玄兎は絶対に場地の方を見ない。

場地は玄兎が寄ってくると不自然に席を外す。


表立って揉めないだけマシか。

だが、ほんの一瞬漂う重苦しい空気に千冬の溜め息も重くなる一方だった。






そんな二人の様子が変わり始めたのはつい先日、集会に出た玄兎の顔に酷い痣があった時のことだ。


誰もその怪我の理由を知らず、当の玄兎は何を聞かれても「何でもねぇよ」の一点張り。

まさか愛美愛主にやられたのかと、とうとう痺れを切らした参番隊隊長が玄兎の胸倉を掴もうとした瞬間、止めに入ったのは場地だった。


『おい、パー…本人が「何でもねぇ」っつってんだから、もう放っとけや。』

『あぁ!?すっこんでろ、テメェ!!』


危うく隊長同士の喧嘩になりかけたところ、副総長の一喝で何とか事なきを得たが。

去り際、千冬に「オマエ、ちょっとアイツのことを気に掛けとけ」と耳打ちした場地は、もしかしたら何か事情を知っていたのかもしれない。

そして躊躇いながらも千冬を呼び止め、「…場地さんにお礼、言っておいてくれ」と玄兎が言った時、それを確信した。


それから玄兎は壱番隊に訪れた際にはきちんと場地にも頭を下げるようになったし、場地もしっかりその場に同席するようになった。

結局あの時何があったかは分からずじまいだったが、これはいい傾向だと、千冬はそっと一人安堵した。


のも束の間。


報告中、チラチラと場地を横目に気にするようになった玄兎。

玄兎と千冬がただの雑談を始めても、そこに留まるようになった場地。


ただし、二人の間で言葉が交わされることは一切ない。


それなのに。


『…千冬。オマエ、なんか最近玄兎と仲良いみてーだなぁ?』

『なぁ…場地さん、なんか機嫌悪かったみてぇだけど…何かあったのか?俺に何か出来ること、あるか…?』

『……………』


千冬の目下の悩みは、場地と玄兎の二人である。




三角形の描き方

(空気は大分軽くなった、けど…)(これ、自分が間にいる必要あんのか?)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。