マイキーとよそもの01


※原作軸過去。










親父の仕事の都合で、これまでに何度も県を跨ぐ転校を繰り返してきた俺。

正直、今回の件で何度目になるかもよく覚えていない。


毎度毎度その地に馴染む前にその地を去ることに流石にうんざりし、そろそろ地面に根を張る生活がしたかった。


ということで。


「いい加減にしろや、このクソオヤジ!」

「あぁ!?誰のおかげで飯が食えると思ってやがんだ、このクソガキ!」


最早恒例となった親子喧嘩を繰り広げた俺は、いつものように新居(といってもボロアパートだが)を飛び出した。


目指すは近所のコンビニ。

不本意ながら引っ越し先の事前探索はすっかり癖で、めぼしい店の場所は予めばっちり把握済みだ。


(こういう時は甘いもんでも食わねぇと、やってらんねぇ…)


スイーツ男子、なんて洒落たものを気取るつもりはない。

これは単なるヤケ食いだ。


その内ストレス食いで太りそうだが、まぁ運動量を増やせば何とかなるだろう。

親父との乱闘もきっともうしばらくは続くだろうし。


(とにかく今は甘いもの、甘いもの…っと。あー、なんか今日は生クリームより餡子な気分、)


お、あった。

と目当ての品物を見付け、思わず口元が弛む。

そして、それに手を伸ばした瞬間―…


「「あ」」







「…で、その怪我か?」


どら焼一つに何やってんだ、お前ら。

と呆れ顔で救急箱の準備をする親父に、気まずさから俺はそっぽを向いた。


「手と手が重なって?目と目が合って?それで乱闘騒ぎ?ってバカか。」

「…うっせ。ラスイチだったんだ、仕方ねぇだろ。」

「普通そこは相手が女で、恋に落ちるもんだろうが。俺とお前の母親みたいに。本当に残念だな、お前ってやつは。」

「あ?結局そのお袋には逃げられてんじゃねぇか。」

「……まぁ、いい。ところで玄兎、お前まさかその野郎に負けたんじゃねぇだろうな?」

「いや…それがケリ着ける前に通報されたっぽかったから逃げてきた。」


親父に殴られたばかりの顔面に容赦なく蹴りを入れてきた、あの金髪チビは一体親からどういう教育を受けているのか。

出来ればもう二度と会いたくないものだ。





「って思ってたら、やっぱりまた会ったな!この野郎…!」


アレ絶対フラグだったもんな!と悔しげに吐き捨てる俺に、何言ってんだコイツ?と言いたげに首を傾げる金髪チビ。

そんな二人の間にあったのは、やっぱり残り一つのどら焼だった。





好みはいっしょ。

(あぁ…引っ越し早々、出禁の店が増えていく…)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。