場地と元同級生02


※原作軸過去。







放課後の帰り道。

いつものように「腹減ったなぁ」などと他愛もないことを話していると突然、何の脈絡もなく隣を歩いていた場地が駆け出したので千冬は驚いてしまった。


すぐさま我に返って慌てて後を追い掛けると、その向かう先にいたのは他校生らしき三人組。


と次の瞬間、その内の一人を場地がぶっ飛ばした。


「こっちは腹ぁ減ってイラついてんだよ!バカヤロウ!」

「ヒッ…!?」


知らない間に何か因縁でも付けられていたのかと思えば、なるほど、場地はよほど腹を空かせていたらしい。

ならば自分も加勢してさっさとこの場を切り上げなければ、と二人目に襲撃を掛ける場地に続くように千冬も残る一人に向かって―…


「おい!」

「え?あ、ごめん。」

「っあ…?」

「えっと…場地くんのお友達…ですか?」

「は?いや、後輩…っすけど…?」


予想外の反応に出鼻を挫かれてしまった。

さらには「そっか」とにっこり笑い掛けられ、ますます戸惑う千冬。


とりあえず場地の知り合いであることは間違いないようだが。


「俺達、小学校の時の同級生なんだ。」

「そう、なんすか?」

「場地くん、変わらないなぁ…」


そう懐かしげに目を細められた視線の先で、場地の膝蹴りが決まる。

一体どういう関係なのだろうか。

今地面に倒れ伏せているのは、目の前の相手の仲間ではないのか。


「…やっぱ…かっこいいなぁ…」


と、不意にぼそりとこぼれ落ちたその一言を、千冬は聞き逃さなかった。


「そっすよね!」

「!!」

「場地さん、かっこいいっすよね!?」


少々鼻息荒く迫ってきた千冬に今度は相手が戸惑う番だったが、千冬は構いはしなかった。


未だ学校ではガリ勉スタイルを通している場地について、いくら千冬がそう主張しようとも周囲からなかなか賛同を得られず、非常にモヤモヤしている。

そう一部省略して話して聞かせると、千冬の変わりように驚いて目を丸くしていた相手が「俺もだよ」と苦笑した。


「俺の周りは場地くんに対して色々とあの、ちょっとトラウマ?みたいなのがあってさ…」

「トラウマ?」

「場地くんの名前を出すだけで、反応が色々とアレになるんだ。」

「アレって…?」


何だか微妙に話が違うような気もしたが、千冬はあえてそれ以上はツッコまなかった。


『場地さん好きのやつに悪いやつはいない』というのが千冬の持論である。

ならば、この人は絶対いい人に決まっている。


そう言えば挨拶もまだだったな、なんて千冬が名乗れば、相手もまた「玄兎」と名乗り返してきた。

そして、その後もしばらく二人『場地トーク』で盛り上がっていたのだが、その様子をじっと見つめる視線があることにどちらも気付くことはなかった。




可哀想なモブの話 後編

(そんな笑い方をするなんて、知らなかった)


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こっそり悪男祭より。
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嘘つき、ロンリー。