三途と伍番隊02


※原作軸過去(東卍)。








友人との付き合いで入った、不良グループ『東京卍會』。

これまで喧嘩の一つもまともにしたことがない俺だったが、どうやら意外にも不良の素質があったらしい。


一緒に入った友人、チームに勧誘してくれた先輩と身近で次々脱退していく中、未だ所属し続けている自分に我ながら驚いてしまった。


『よく頑張ってるよ、オマエは。ですよね?隊長?』

『…あぁ。まぁ、そうだな…』


しかも、所属する伍番隊の隊長、副隊長両名のお墨付きなのだから、これは結構凄いことではないだろうか。

特に副隊長の方は、事ある毎にそう言いながらいつも優しく俺の頭を撫でてくれる。

黒いマスクで顔半分を覆っていても、何となく柔らかく微笑まれていることが解るのは、その優しい人柄が滲み出ている証拠だろう。


そんな副隊長について、時々周囲と何故か意見が食い違うことがあったが、恐らく相手は他の誰かと勘違いしていたに違いない。

それとも、もしかしてあれは笑うところだったのだろうか?


でなければ、あの副隊長の一体どこをどう見て「暴れ馬」なんて乱暴な表現が出てくるのか、不思議な話である。


その点、武藤隊長は流石だった。


『…オマエも色々大変だろうが、とりあえずアイツの気が済むまで付き合ってやれ。』


最近は少々子ども扱いが過ぎるような気がして戸惑っていた俺に、そう声を掛けてきた武藤隊長は副隊長の「世話好き」をよく理解していた。

きっと隊長自身もそうして世話を焼かれてきたのだろう。

その光景を想像した瞬間、無愛想に顔を背けた武藤隊長に少し親近感が湧いた。


ということで、俺も隊長に倣い、これまで通り副隊長の世話を受けることにした。


例えば手を繋ぐ時、指先が絡むようになっても。

例えば褒められる時、頭より頬を撫でられることが多くなっても。


例えば眠る時、顔中にキスのようなものが降り注がれるようになっても。


これまでと変わらず、あまり深く考えずに。



「……おやすみ、玄兎。」



ようやく満足したらしい三途さんがそう囁くように俺の名前を呼ぶと、それを合図に俺も「おやすみなさい」と返して背を向けた。

すると腹に腕を回され、ピッタリと隙間なく密着するように身体を引き寄せられる。


二つ並べて敷いていた布団が一つになり、その上、三途さんの腕を枕にするようになったのはさていつの頃からだっただろうか。

背中全体に感じる三途さんの体温にもすっかり慣れてしまい、むしろ今ではそれがないと落ち着かず寝付きにくくなってしまっているほど。


やや低めの、だけど確かにじんわりと温かいそれは三途さんの優しさによく似ている。

今夜もいい夢が見られそうだ。


なんて考えている間にも、ウトウトと忍び寄ってくる睡魔についつい欠伸を一つ漏らしてしまい、耳元では三途さんの小さな笑い声が聞こえて―…







「…で、気付いたらそのまま寝てたんだ。」


と笑って締めくくると、呆れられてしまったのか、何とも言えない表情で見つめ返されてしまった。

俺とほぼ同じ時期に東卍に入った内の一人で、所属する隊は違うものの、そこそこ親しくしている相手だ。

プライベートで遊んだことはまだないが、チーム全体で集まった時などたまにこうして顔を合わせて話していたりする。


「あー、だからか…」

「?だから、って何が?」

「いや、オマエ、その首んところ…」

「くび?」


その言葉につられるように自分の首の、相手が指し示す辺りを触ってみたが、特に何もない。

一体何があるのか聞き返そうとした矢先、「あ、やっべ。この後、隊で集まるんだったわ」と相手が慌てて話を切り上げてしまった。


そして、その駆けていく後ろ姿を見送りながら一人しばらく首元をイジっていると、ふと伍番隊の方でも集まりがあることを思い出し、慌てて俺も駆け出したのだった。






オレのだけど何か?
(その後、隊長から首にある「虫刺され」を指摘され、副隊長がそこに絆創膏を貼ってくれた)
(ただ副隊長曰く、それは「虫除け」だったらしいのだが…?)

(あまり深く考えないことにした)


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嘘つき、ロンリー。