ドラケンと年下01
※エマ死亡軸未来。
※モブ友が少々出ばってます。ご注意を。
「バイクを買いたい」という友人に付き添って、この店を訪れるのも今日で数回目。
今日も今日とて俺にはよく解らない話で盛り上がっている友人と店員の姿をぼんやり遠目で眺めていると、顔馴染みになった店長が何か作業を終えたばかりなのか、手を拭いながらこちらにやって来るのが見えた。
「そういや、そっちは?バイク乗んねぇの?」
「今のところ予定はないっすね。」
ガタイの良さに加え、弁髪に刺青。
昔ヤンチャしていたのが一目で分かるその容貌に、思わずビビってしまったのは最初だけだ。
客でもない俺が居座っても嫌な顔一つ見せず、それどころか暇をもてあましていることを察して、時々こうして話し掛けてくれる。
本当にいい人だと、そう思う。
「じゃあ、ヨメの後ろに乗ってデートすんのか。」
「よめ?でーと??」
ふと揶揄うような笑みと共に投げて寄越された、あまり聞き慣れない言葉達に首を傾げれば、店長の視線が俺から逸らされる。
それを辿っていけば、その先にいるのは相変わらず話に夢中の二人組の片割れで。
「…いや、別にアイツはそんなんじゃないっすよ。よく言われますけど、絶対ないです。あり得ない。ただ小中高が一緒の腐れ縁ってだけで。」
「へぇ?」
俺の訂正を聞いているのか、いないのか。
こちらを見ることなく生返事を返しながら、何やら眩しげに目を細めるその様子に、何故か一瞬ざわりと胸が騒いだ。
もしかして―…
「もしかして、アイツのことが気になります?」
「あ?」
無意識に口にした言葉に相手が振り返る。
目が合ってすぐそれに気付き、後悔して今度はこちらから目を逸らしてしまった。
向けられる視線が、落ちる沈黙が、チクチクと自分に突き刺さるように感じる。
が次の瞬間、噴き出すような笑い声が聞こえ、ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を掻き撫でられた。
「、ちょっ、?」
「警戒すんならオレよりイヌピーの方にしとけ。」
「っ、だから違いますって…っ」
「…大事にしろよ。」
恥ずかしいやら何やらでその手を振り払おうとして、ぼそりと聞こえたそれに思わず動きを止める。
今のは…?と聞き返すより先に「玄兎ー、そろそろ帰ろっか」と友人から声が掛かった。
「、えっと、それじゃあ、これで失礼します。…多分また来るとは思いますけど。」
「おう。バイクのこと、気が変わったら声掛けろよ。相談乗ってやるから。」
胸にモヤモヤとしたものを抱え込みながらも「その時はお願いします」と応え、友人の後に続いて店を出た。
「……なぁ。」
「うん?」
「バイク、まだ決まんねぇの?」
「まだ。だからもう少し付き合ってね。」
隣に並び、そう楽しげに笑う友人は確かに眩しい。
その上、同じ趣味ともなると好ましく感じるのも無理はないだろう。
だからそれとなく「あの店長さん、お前に気があるみたいだ」と話せば、友人はまた笑ってそれを否定した。
「ないない。乾さんの話だと、店長さん、もうずっと昔から心に決めた相手がいるんだって。」
「……そっか。」
まだその名を知らなかった頃のこと
(何だかんだ言いつつも俺が友人に付き合っているのは多分、)(だけどそれももう終わりかもしれない)
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こっそりT卍R祭より。
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嘘つき、ロンリー。