若狭と腐れ縁01


※最初の世界線。
※真一郎がタイムリープする少し前の話。










「オマエはワカに甘い」と散々言われてきた俺だが、正直ただ諦めているだけだ。


仲間内の誰よりも長い付き合いの中で、若狭が俺の意見を聞いたことなんて片手で足りるほど。

有無を言わせない決定事項でも話をされるならまだマシで、大抵の場合若狭は「黙ってついてこい」と言わんばかりにこちらに背を向け、振り向きもしなかった。


『白豹』の名を捨て、『黒龍』を選んだ時でさえも。


『そこで黙ってついていくからオマエは甘いって言ってんだよ。』


そう呆れたように吐き捨てたのは確か武臣だったが、その時の俺は一体何と言って返したのかよく覚えていない。


いや、恐らく何も返さなかったのだろう。

俺が口を開くより先に、それを遮るように名前を呼ばれて、




「玄兎。」




目を開けると、いつの間にか戻ってきていた若狭が助手席に座り、俺の顔を覗き込んでいた。


「悪い、寝てた……早かったな?」


やや倒していたシートを元に戻しながら時計を確認すれば、思ったより経過していない。

真一郎の様子はどうだったか?なんて若狭を見れば一目瞭然で聞くまでもなく、俺はエンジンを掛けてシートベルトを締めた。


「どこか寄って帰るか?」

「いや、今日はもう疲れた。」

「じゃあ少し寝てろよ。着いたら起こしてやるから。」

「…いや、いい。」


そう言いつつ、ドアに凭れるように頬杖をつくと若狭はそのままそっと目を閉じてしまった。

寝るつもりはないが、会話をするつもりもないらしい。

それを見て取った俺は、少し迷った後、黙って車を発進させた。


(……もう諦めるか…)


俺にしては粘った方だな、なんて思わず自嘲する。


『黒龍』解散から数年、何も変わらなかった、いや「変わるはずだった」俺達の関係は恐らくこれからもいくら待ったところでこのままだろう。


真一郎の弟の「事故」が起きた、あの日。

「けじめ」と称して投げて寄越された小洒落た小さな箱も、「真ちゃんに報告しねぇとな」なんて笑っていた若狭も、結局その口を開く機会を失ったまま。


ふと赤信号で車の流れが止まり、横目で若狭の横顔を盗み見た。


「…なぁ、若狭。」

「あー…?」









そして組を抜けた数日後。

風の噂で、真一郎の弟が亡くなったことを知った。




が嫌いなワケ

(そしてまた、世界は呆気なく一転する)


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こっそりT卍R祭より。
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嘘つき、ロンリー。