Bow-WoW!
#12
『死にたいのか、お前。』
いや、多分俺はあの日、死んだんだと思う。
シキに斬られて逃げて、誰も知らない廃墟の片隅で、独りで、死んだ。
それで誰かの優しさか気まぐれか手違いで、きっと俺は今、ここにいる。
俺の知らないタグ。
ラインではないクスリ。
トシマではない、街。
似ているようで似ていない、別世界。
(思い返せばロクでもない人生だった…かと言って、これがやり直すチャンスだとも別に思わねぇけど…)
もう充分だ。
俺は死んだんだ。
だから、
『死にたいのか。』
「気を付けてね、玄兎。」
「ん。」
『バスタード』にコロニーの襲撃。
次々と起こる騒動のせいで、便利屋でもない俺が駆り出されることが多くなった。
不安そうに俺を見上げるニナの頭を撫で、顔を上げれば不機嫌そうなテオ先生の姿が目に入る。
「先生。」
「…何だ、駄犬。」
「その駄犬を拾ったのは先生すよ?」
また『女』が相手だったらどうする?と、そう散々脅してくれた先生の言葉に俺は答えられなかった。
でも今、これだけは言える。
「だから、先生が「死ね」って言うまで俺は死にません。」
一瞬目を見開いたテオ先生に「行ってきます!」と言い放って、俺は逃げるように医院を飛び出した。
----------------
(この命は拾ったあんたのもの)
(俺は、あんたの狗だ)
そう、吠えた。
*前
戻る
嘘つき、ロンリー。