下っ端くんは潜入捜査中!

佐野万次郎


キィ、と小さな音を立てながらドアを開ける。

そしてまた小さく「しつれいしまーす…」と中に向かって声を掛けながら、恐る恐る顔を覗かせた。


外から見た時点で分かっていたことだが、やはり室内の電気は点いておらず、返ってくるのは恐ろしいほどの静けさだけ。


本当に誰も居ないのか?

施錠もしていないとは物騒な話だが。


(…まぁ、この事務所自体が物騒なんだけど。)


一応許可は取ってあるし、もう少し奥まで入ってみても問題はない、はず。

とはいえ、ここはあくまでも慎重に…と何度も自分自身に言い聞かせつつ、ゆっくり足を進めて行ったところで、応接セットの、ソファーの一つに横たわる人影に気が付いた。


思わず息を飲む。

ドッ、と鼓動が強くなる。


(あれが、あの『無敵のマイキー』…?)


しばらく待ってみたところで反応はない。

もう一度声を掛けてみるかとも思ったが、もし万が一本当に眠っているのだとしたら、ここで起こすと藪蛇になってしまうだろう。


なら、どうするべきか。


(別にここで焦る必要はない、よな…?)

(無理して、もし何かあれば全部水の泡だ、)

(やっぱり一度引き返した方が…)



(…いや、これは絶好のチャンス、かもしれない。)



周囲を見渡しながら恐る恐る携帯を取り出し、音を立てないようにカメラを起動させると、ゆっくりとその顔に向け、


「おい。」

「ヒィッ!??」










「…って、どこからともなく三途サンが現れた時はまじで本当にビビりましたね…」


そう玄兎が語った体験談は真に迫った迫力で、「本当に遭った怖い話」として各方面を恐れさせたのだった。




【佐野万次郎の秘密】

(秘密は秘密だから秘密なんです)

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嘘つき、ロンリー。