もしかして:喜劇?
佐野兄妹と飼い主(仮)
※猫化した佐野兄妹。
※イザナも一緒に平和的に兄妹しています。
急に転勤が決まった、それで相談したいことがある。
と友人から持ち掛けられた数日前、その時はてっきり仕事関係の話だと思っていたのだが。
『ねこ…?』
『頼む!しばらくの間、預かってくれ…!』
詳しく事情を聞けば本当に急な辞令だったらしく、部屋を探す暇もなかったせいで、しばらく社員寮に仮住まいすることになったそうだ。
問題は、その寮が「ペット禁止」だったということ。
友人はまだまだ物件探しを続けるつもりだったが、それまでの預かり先が必要だった。
『それであちこち当たってみたんだけど、一匹ならともかく、四匹ともなると流石に厳しいって断られて…』
『流石に四匹はなぁ…一匹ずつなら預かってもらえたんじゃないか?』
『だってキョウダイだぞ!?こっちの都合でバラバラにしたら可哀想だろうが…!』
『お、おう?そう、だな…うん…』
『だから頼む、玄兎!本当に少しの間でいい!お前が最後の砦なんだ…!』
『…うーん…』
『猫はいいぞ!本当癒やされる!仕事で疲れた心によく効くビタミン剤!間違いない!』
『……お前、大丈夫か?仕事が忙しいのか?』
なんて半ば勢いに押されるようにして結局了承したのだが、その時の友人の感謝と喜びようときたら、こちらが少し引いてしまうほどだった。
「まさか、あいつがあんなに猫好きだったとはなぁ…」
「うん、ホントすごいの。ウチらにはいつも赤ちゃん言葉で話してたし。」
「…へぇ…」
本当に知りたくなかった友人の意外な一面に顔を引き攣らせながら、膝の上に座るエマの頭を撫でてやれば、嬉しそうに擦り寄ってくる姿は確かに少し癒やされた。
が、「多分アイツのことだから、オレ達の様子を聞くために毎晩絶対電話してくるぞ」と続く言葉に再びゲンナリしてしまう。
犯人は、こちらに背を向けて寝そべりながらテレビを見ている真一郎だ。
そして、背後からドタバタと聞こえてきた物音に俺は溜め息を吐いた。
「イザナー、万次郎ー、物だけは壊すなよー?」
とりあえず注意はしてみたが、あまり期待はしていない。
つい先日、件の友人が大荷物と共に連れてきたこの四匹は「兄妹」という話だったが、黒、白、茶色とバリエーション豊かな色合いに、親猫の毛色が少し気になったものだ。
ついでに言えば一番上が真一郎、その次にイザナ、万次郎で、末っ子がエマと、名付けた友人のネーミングセンスもいまいちよく分からないが。
「玄兎ー、腹減ったからそこにあるどら焼き食っていい?」
「別にいいけど、あれって猫に食べさせていいのか?」
「ド○えもんは食べてるよ?」
「あれはなぁ…猫型のロボットだからなぁ…」
「ロボットが食うってのもおかしな話だよな。」
「…そこはまぁ、うん。ツッコまない方向で。」
「んなことより万次郎、そこ邪魔だっつってんだろ。」
「あ?」
「おい、人の背中によじ登りながら喧嘩すんなって…痛っ!?ちょ、爪っ!爪が立ってるから…!」
暴れるイザナと万次郎に呆れた様子で溜め息をこぼすエマ、それらを見守りながら笑う真一郎。
これほど我が家が賑やかになったのは、確かに友人の言う通り、猫達のおかげだろう。
そう思わず苦笑してしまった。
ねこのいる生活
(しかし預かった翌日から猫達が人の姿に見えて、会話も出来るようになったのだが)
(俺も疲れている、ということだろうか?)
(…それ以上はあまり深く考えないことにした)
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嘘つき、ロンリー。