ミハイルと幼馴染01


月に数える程度の、隣村との交流。

その主な目的は物資や情報の交換だったが、ユーリィ達兄弟には別の楽しみがあった。


『ほら、こっちはもういいから。あの子達が向こうで待っているよ。』

『いいの?』

『あぁ、早く行ってあげなさい。』

『日が暮れる前には帰るからな。遅れるなよ、白兎。』

『分かってるって!』


そう荷下ろしをする大人達から一人離れ、ユーリィ達の元へ駆け寄ってくるのはミハイルと同い年ほどの少年。


「久しぶり!」と笑い合ってすぐ、三人は僅かな時間をも惜しむように「今日は何をしようか?」などと話しながら歩き出す。

まずは先頭をユーリィが、その次をユーリィに手を引かれた白兎が、そして最後をミハイルが。


どちらの村にも他に同年代の子供はおらず、特に白兎には兄弟もいなかったせいか、年下のユーリィを本当の弟のように可愛がっていた。

ユーリィにとっても、白兎は二人目の兄のような存在だったのだろう。


そしてミハイルにとって白兎は、白兎にとってミハイルは―…





「―…ミハイル?」


ぼんやりと開けた目に映ったのは、昔馴染みの青年の姿。

その伸ばされた手は恐らく、たった今、ミハイルを起こそうとしていたものなのだろう。


「起きたのか?」と耳に心地良い声に誘われるように、応えるように、ミハイルもまた手を伸ばした。


だが、それに触れる寸前。


「エフグラフ様がお呼びだ。」


忌ま忌ましい男の名に、はっきりと意識が覚醒する。

そんなミハイルの様子に気付いたのかどうか、まるで人形のように青年は何も言わず、ただ背を向けて部屋を出て行ってしまった。


宙をさ迷っていた手は拳を握り、そのあまりの強さに震えだす。


何もかも変わってしまった。

ここはドッグヴィルではなく、どちらももう子供ではない。


人間ですら、ないのだ。


「………白兎…」


あの日、「もっと一緒にいたい」と言ったのは誰だったか。

そう願ってしまったのは、誰なのか。


ミハイルの手には血が滲み始めていた。





罪 の 罰


思い通りに動かない己の身体に、期待するのは疾うの昔に諦めた。

ただ心だけを残し、望まぬ主の元に跪く。


そして頬を撫でるその冷たい手に幼馴染みの姿を重ね、白兎はそっと目を閉じたのだった。


(一度も触れることの出来なかった、彼の者の温もりを夢想する)


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プチ☆夏フリリク企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。