理一と友人04


住み慣れた我が家を見上げた瞬間、一気に酔いが醒めた。


「白兎?どうかしたのか?」


思わず足を止めると、隣を歩いていた理一がつられて立ち止まる。

しばらく不思議そうに俺の顔を覗き込んだ後、「まさか、また鍵を失くしたのか?」とからかうように苦笑してみせたのは、きっと俺にその前科があるからだろう。


だが、そんな理一にも前科はあった。

そのことを、たった今、思い出した。



『そう身構えないでくれ。この間は悪かったよ。』



長年の友人に告白され、押し倒されたのは数ヶ月前。

しかも、場所は目の前にある自室でのことだ。


あの時邪魔が入らなければどうなっていたか、なんて、生憎それが分からないほどガキでもウブでもない。


だというのに、酒の席特有の雰囲気に流され、ついいつもの調子で「うちで飲み直そう」と誘った俺は本当に馬鹿だ。


あんなことがあった後に、あんなことがあった部屋で二人きり?


それはつまり、理一の気持ちを受け入れたも同然で、


「白兎?」


二度目のその呼び掛けに、気付けば心配が色濃く滲んでいる。

その視線から逃れるように、俺はそっと顔を背けた。


「、悪い、ちょっと、気分が…」

「大丈夫か?少し飲ませ過ぎたかな?」

「あ、あぁ…だから、本当悪い。今日のところは」

「いいよ。気にしないでくれ。」


あっさり引き下がってくれた理一に内心ほっとしたのも束の間、突然腰に回された腕に思わず肩が揺れた。


「っ……!」

「部屋まで送ったら帰るよ。」

「い、いや……」

「無理はしない方がいい。ほら、遠慮はいらないから。」


夜も遅いという配慮だろう、耳元に寄せられ、囁かれる声。

しっかりと掴まれたそれもあくまで体を支えるためであり、他意はない、はず。


きっと俺が意識しすぎているだけだと、そう思いたかった。






遠回しの結末

(遅かれ、早かれ)
(どう逃れ?)


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八周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。