カズマとギルド職員01
どうも、カズマです。
現在、俺史上最大にして最難関ともいえるクエストを前に精神統一を計ってる真っ最中である。
いつもの仲間はここにはいない。
というか、むしろいたら困る。
ドで始まってムで終わる残念なクルセイダーが鼻息荒く参戦してきたら色々とぶち壊しだろうし、爆裂魔法至上主義のこれまた残念なアークウィザードは文字通り全てをぶち壊してしまうことだろう。
宴会芸の神は論外だ。駄女神?もっといらない。
つまりは孤軍奮闘、これは俺一人で挑まなければならない試練なわけで―…
「カズマさま?」
「カズマです。」
と、呼ばれた名前に振り向けば、顔馴染みのギルド職員が不思議そうにこっちを見ていた。
その手にはこれから掲示板に貼る予定であろう羊皮紙が数枚握られている。
ここはアクセルの街のギルド内、なのでそこにギルド職員がいても別に何ら不思議はないのだが。
「お一人ですか?珍しいですね。報酬の受け取りなら、今あそこの受付が空いてますよ。」
「いや、うん、まぁ…」
親切心満載の言葉に俺は思わず頬をポリポリと掻き、目を泳がせ、結局口から溢れたのは曖昧に濁した渇いた笑い声だけ。
その様子に相手が首を傾げるのは仕方ないが、俺だって突然のまさかのラスボス登場に出鼻を挫かれてしまったのだからしょうがない。
そう、何を隠そうこのギルド職員こと白兎が今回のターゲットだったりする。
事の発端はおよそ一時間前、先程白兎が言ったように報酬を受け取るため、いつものようにアクア達とギルドへやって来た時のことだった。
その時、俺は偶然「白兎が明日休みを取るらしい」と小耳に挟んだ。
断じて盗み聞きではない。
そして、一仕事終えたばかりの俺達も偶然「明日は何もせず休みにするか」と話し合っていた。
断じて無理矢理白兎の予定に合わせた訳ではない。断じて。
総ては偶然の産物、運命と呼んでもいいくらいだ。
『え、カズマさまも明日お休みなんですか?偶然ですね。』
『白兎も?じゃあ良かったら一緒にどこか行かないか?』
つまり、俺はただただ白兎とデートがしたかった。
ということで。
「あ、明日!」
「明日?」
「デ!」
「で?」
「デ、デ、デ、デ、」
「…どうしました?大丈夫ですか?」
しかし、いざ白兎を目の前にすると、何度となく繰り返してきたシミュレーション全てが一瞬にして無駄に終わった。
お宝(と読んで下着と書く)をスティールするのは簡単だというのに、たかがデートに誘うくらいでこれは一体何というざまなのか。クズマの名が廃るというもの。
こんなことなら転生前、ギャルゲーなどでもっと経験値を積んでおくべきだった、なんて後悔したところでもう遅い。
アダルティなものなら少々嗜んだこともあるが、アレを参考に話を進めていくとなると最悪俺はムスコとお別れする羽目になってしまうだろう。
どんなゲームだったかはご想像にお任せするが。
「カズマさま??」
健気にも俺の次の言葉を待ち続ける白兎がマジくそ可愛い。
癒やされすぎて、逆にツラい。
なんて、現実逃避が始まりかけていた矢先、どこからかプークスクスと笑い声が聴こえてきたような気がした。
駄女神降臨3秒前
(先に帰らせていたはずの三人が実は物陰から見ていたことを知る、3秒前でもあった)
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リクエストありがとうございました!
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嘘つき、ロンリー。