カズマとギルド職員04


白兎と俺。

ギルド職員と冒険者。


近いようで意外と遠かったその関係に、つい先日ある変化が訪れた。


『とりあえず、お友達からお願いいたします。』


あの欲望剥き出しの、赤裸々すぎる俺の告白に対し、やや動揺しながらもそう応えてくれた白兎は天使どころか神に違いない。

もし白兎教というものがこの世にあるとしたら、俺は迷わず入信する。


「ちょっとカズマ!由緒正しきアクシズ教のご神体であるこの私を差し置いてどういうつも」

「まぁ待て、アクア…人の話は最後まで聞くもんだ…」


やたら小煩い駄女神はさておき。


具体的に何がどう変わったのか?

まずは他人行儀な「カズマさま」呼びが「カズマさん」に変わった。

これにより親密度がグッと深まった。


「そうですか?まだまだ十分他人行儀だと思いますけど。それに、それを言うならカズマだけではありませんよ?私もアクアもダクネスも、白兎からさん付けで呼ばれるように」

「まぁ待て、めぐみん…人の話は最後まで聞くもんだ…」

 
やたら鋭いアークウィザードはさておき。


これまで俺達は基本ギルド内でしか会えなかったが、あれから白兎はよく俺達の屋敷に遊びに来るようになった。

これにより距離感がグッと縮まった。


何故か毎回、事前にアクア達の在宅の有無を確認されるのだが。


「いや、何故も何も…自分のことを邪な目で舐め回すように見ている相手といきなり二人っきりになるのは…というか、お前のことだ。二人っきりになったら絶対嫌がる白兎に無理矢理何かするつもりなのだろう!?ぜひとも詳しく」

「まぁ待て、ダクネス…人の話は最後まで聞くもんだ…」


やたら興奮気味のクルセイダーはさておき。


と、ここで俺の焦らしプレイに焦れたらしいアクアが「最後までって、一体いつになったら終わるのよ?さっさと本題に入りなさいよ!」とキレた。


つまり、俺は一体何を言いたいのか?


白兎と俺。

ギルド職員と冒険者。


近いようで意外と遠かったその関係に、つい先日ある変化が訪れた。



のだが。



「これから一体どうすれば白兎と良い感じになれるんだ!?このままだと間違いなく友情エンドで終わるぞ!?」

「どうすればって…別に普通に白兎にアピールすればいいのではないか?」

「待って下さい。カズマはすでにモロモロを白兎にぶちまけています。今更何をモロ出ししたところで、例えばお得意のセクハラを仕掛けたとてインパクトに欠けるのでは?」

「確かにそうだわ…カズマのアレを乗り越えた白兎にとって、最早全てがただの下ネタトークに過ぎない…そして童貞引きニートのカズマに、アレ以上の恋の駆け引きは期待出来ない!」

「アレが俺の恋愛技量の全てだと思われるのは心底嫌だ。が、そこで信頼できる仲間であるお前達に頼みがある!白兎が俺に惚れるようにもっとこう…頼りになる男に見えるように!どうか援護射撃をよろしくお願いいたします…!」


そう言って俺は三人の前で土下座した。

そこに躊躇はなかった。

そもそも、そんなプライドは初めから持ってもいなかった。


一瞬驚いたアクア達だったが、すぐさま俺の本気度を悟ったらしく真剣な表情で互いに視線を交わし、そして頷き合ってみせた。


「頼りになる、ねぇ…?カズマは元がアレだからちょっと難しいかもしれないけど、ま、しょうがないわね。」

「他ならぬ仲間の頼みです。やってやろうじゃないですか!」

「大丈夫だぞ、カズマ!お前は十分頼りになる男だ!きっと白兎にもそれは伝わるはずだ…!」

「お、お前ら…!」


若干そのポンコツ具合に不安がありはしたものの、それでも俺は仲間達の頼もしい言葉に不覚にも感動してしまった―……のが数日前のことだ。




「こんにちは。えっと…カズマお兄、ちゃん。」

「っ、ぐふっ…!」




いつものように遊びにやって来た白兎が突然、不意打ちでとんでもない先制攻撃を仕掛けてきた。

思わず鼻を押さえる。


「カ、カズマさん!?大丈夫ですか!?すみません!アクアさん達からカズマさんのことはこう呼んだ方がいいと言われて…本当すみません!」

「どう?カズマ。私達がアンタのために考え抜いた、『頼りになる男になりたい』という希望を叶え、かつロリニートの性癖も的確に射抜く優れ技よ!」

「ロリコン言うな!でもありがとうございます!」

「『パパ』とどちらにしようか少々迷ったのですが…」

「断然お兄ちゃんで!ありがとうございますッ!」

「わ、私はご主人様はどうかと…べ、別に変な意味ではないぞ!?ただ圧倒的かつ抗いようのない力関係を明確に示すのにこれ以上最適なものはないだろう!?」

「最早本来の趣旨からかけ離れてはいるが、確かにそれも捨てがたく思……ハッ!」


つい我を忘れてサムズアップしていた俺だったが、だらだらだらと嫌な汗が止まらない。


そして、恐る恐る白兎の方を見れば。


いつもと変わらず浮かべられたその笑みがどこか遠く感じられたのだった。





全速前進全速後退

(ま、待ってくれ!白兎!これは巧妙な罠だ…!)
(いいんです大丈夫ですカズマさん。カズマさんが例えロリコンでもショタコンでも俺は友達ですから。)
(ちがっ…頼む!こっちを!俺の目を見てくれぇぇぇっ!!)


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嘘つき、ロンリー。