リドルと獅子寮の生徒01


彼は、完璧だった。


キザに思えるほど甘く優しい口調。

ユーモアの中にもそれとなく感じさせられる知性。


そして何より。


彼は必ず、こちらの望む『答え』をくれた。



(…これで顔まで良ければ正に言うことなし、なんだろうけど。)


流石にそこまで求めるのは贅沢か。

なんて一人苦笑を漏らしながらも、ついつい顔も知らぬ友人について想像を巡らせてしまう。


いや、だけどきっと、彼のことだ。

恐らく同い年の少女らがよく夢見るような、まるでおとぎ話に登場する王子様のような姿をしているに違いない。


それこそ、完璧な―…




“白兎?”




ポタリ、と落ちたインクに、彼が訝しげにこちらへと呼び掛けていることに気が付いた。

それから少し考え、改めて羽ペンにインクを付け直す。


“もう遅いし、そろそろ寝るよ。”

“もうかい?”

“ごめん。明日、早いんだ。”
“あぁ、そう言えば近々、試験があると言っていたね。”

“よく覚えてるな。それを話したのは随分前じゃないか?”

“君のことなら、何でも、ね。”


一瞬の、間。

そして“もう少し君と話していたかったけど…残念だ”と続く言葉に、思わず口元が弛んでしまった。


“勉強、頑張って。”

“ありがとう。頑張るよ。”

“おやすみ、白兎。”


「…“おやすみ、リドル。”」


最後はそう声に出して返事をしながら、俺はそっと口づけを落とした。





だけど触れることは出来ない

(少し前に寮の談話室で拾った、一枚の羊皮紙)
(それは、誰かの日記の一部だった)


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六周年企画より。
企画へのご参加ありがとうございました!


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嘘つき、ロンリー。