【趣味は、読書です。】01
「白兎は?」
「先に行って席を取っておくって。」
そんなやり取りから数分後、食堂に一歩足を踏み入れた二人はほぼ同時にその足を止めた。
確かにそこにはそれなりの人数がいて、それなりに騒がしくはあるものの、どことなくいつものそれと様子が違う。
「ねぇ、アレってもしかして…」
「え。…違う、んじゃない?」
「いや…だったら誰だよ、アレ?」
どこからかひそひそと聴こえてくる声につられ、『アレ』と指された方向に目を向ける。
そして堂上はその眉間に皺を寄せ、小牧は小さく苦笑してしまった。
まるで見えない壁に囲まれているようにぽっかりと空いた、壁際の一席。
そこに座る、見知った同期の姿。
「白兎。」
小牧が声を掛け、ようやく向こうも気付いたらしい。
手元の新聞に落とされていた視線が持ち上げられ、その顔には見慣れない眼鏡が掛けられていた。
ちらほらと飛び交う黄色い声に気付いていないのか、気にしていないのか、応えるように軽く手を挙げる。
そしてその指はゆっくりと奇妙に曲げられ、
「グ○シ!」
「「…………」」
一瞬にして静まり返った食堂に、誰かが吐き出した溜め息がやけに大きく響くのだった。
【あらすじ】
(黙ってれば、ただのイケメンなんです)
(いやこれ本当)
*前次#
戻る
嘘つき、ロンリー。