【一人、二人、三人。】05


『ちゃんと向き合えば、それでええんやよ。』


そんな祖母の言葉に背を押され、三葉を連れて家を出たのは少し前。


俺としては本格的にお祓いの日取りを相談したかったのだが、向かう先は神社の清掃だ、多少なりとも効果があるかもしれない。

それに、これでようやく俺もあの方程式の悪夢から解放され…


「…おい、どうした?」


遅れがちな三葉の足取りが気になって立ち止まる。

振り向けば、いつの間にか俺の真後ろ、三歩程離れた位置にいる三葉。


「具合でも悪いんか?」

「ううん、別に。」

「…………」

「…………」

「…まぁ、何かあったら言いないや。」

「…うん。」


そっと息を吐き、再び前を向いて歩き出した。

出来るだけ、ゆっくりと。


神社までの道程が、遠い。


(……しっかし、ばあちゃんはああ言っとったが…)


「向き合う」べき人間は俺ではなく、もっと他に誰かいるはずだ。

例えば、今もどこぞで演説ぶっているであろう某親父とか。


「……ねぇ、おにいちゃん。」 

「んー?」


心なしか辺りはいつもより静かで、声はそれよりもさらに静かだった。


「ううん、ごめん。やっぱり何でもない。」


今、自分の後ろにいるのは一体誰だろうか。

そして俺はちゃんと向き合うことが出来るのだろうか。


なんて少し他人事のように考えながら、俺達は黙々と歩き続けるのだった。





『君』について

(わからないことだらけ)

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嘘つき、ロンリー。