【一人、二人、三人。】06


 

「三葉ぁ、風呂空いとうぞー。」

「…はぁい。」


少し熱を帯び始めたスマホを枕元に放り投げ、勢いをつけて上半身を起こした。

そして軽く髪を整えながら部屋を出ると、聞こえてきたのは四葉の笑い声。


「こらっ、動くなや四葉!」

「だってお兄ちゃん、くすぐったいんやもん!」

「お前が静かにしとればすぐ終わるでな!早よう乾かさんと風邪引くに!」

「そう言うお兄ちゃんも、いい加減服着んと風邪引くんやない?」


途中、騒がしい居間を覗いてみれば思った通り、お兄ちゃんが四葉の髪を拭くのに苦戦していた。

それもトランクス一枚で。


その姿に呆れて思わず口を挟めば、私の声につられたのか、顔を上げた瞬間にくしゃみを連発。


ますます呆れてしまった。


「もう…しっかりしてよね。私の友達でお兄ちゃんに憧れとる子、おるんやから。」

「俺に?へぇ…変わった子もおるんやなぁ。」

「何それ。自分で言っちゃう?」

「お兄ちゃん、外面だけはええもんなぁ。」

「何やと、こいつ!」


私の話を本気にしていないらしく、すぐにまた四葉とじゃれ始めるお兄ちゃん。

これのどこがいいのか、瀧くんに限らず、お兄ちゃんの歴代彼女さん達に真剣に問い質してみたくなった。


そもそも思春期女子を前に、風呂上がり半裸とかあり得ない。デリカシーがなさすぎる。

慣れちゃってる私も、私だけど。


「まぁ、あれや…四葉の言う通り、外じゃしっかりしとるんだし、別にええやろ。」


良くない!と言いかけて、慌てて口を閉じる。

まさか時々その子と入れ替わっているなんて、絶対に言えなかった。


(あぁ、もう!焦れったいなぁ!)







『彼』について

(教えたいことがいっぱい!)

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嘘つき、ロンリー。