【seven】01
「どっか、行くの?」
眠そうな、少し掠れた声。
小さい癖にそれはやけにはっきりと聞こえた。
「兄ちゃん?」
返事の代わりに持っていたリュックをその足元へ投げてやれば、その様子をただ目だけで追う白兎。
反応が鈍いのは多分、数分前に叩き起こされたばかりでまだ頭が醒めきっていないからだ。
まぁ、叩き起こしたのは俺だが。
「さっさと着替えろ。」
「…俺も、行くの?」
どこに?
繰り返される問い掛け。
『何をしに』行くのか聞かない辺り、何となく察しが付いているみたいだ。
さすが俺の弟だと小さく笑った。
(愛花がいれば、『私の弟です』って拗ねるところだろうな…)
そしてそれらを聞いた吉野が「変なキョウダイだね」と苦笑して締め括るに違いない。
そこまで思い巡らせて、ふと我に返る。
ありえない仮定話なんて、俺らしくなかった。
「別に、いいけど…」
そして俺の返事を待たずに、大きな欠伸をもらしながら白兎がようやくリュックを拾い上げる。
「なぁ、兄ちゃん。」
その声はまだ眠そうで、少し掠れていて、
「俺が、姉ちゃんを殺したって言ったらどうする?」
その瞬間、白兎の胸倉を掴んで床の上に引き倒した。
「っ…」
「笑える冗談だな。」
苦しげに俺を見上げ、「笑えてねぇよ、兄貴」と咳を一つこぼす白兎。
やっと目が醒めたようだ。
【憤怒】
(それは、衝動。)
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嘘つき、ロンリー。