絳攸と吏部官吏01


今現在、俺は吏部にて馬の如く働かされています。


いや、決して比喩なんかじゃない。

一瞬でも気を抜くと、鞭の代わりに扇が飛んでくるのだ。


「痛ぁっ!!?」

「ふん、余所見をするな。」


くっ…この悶絶している俺を愉しげに見下ろしているのが馬主の紅尚書。

つい今し方俺に向けて扇を投げつけたばかりのはずなのに、その手にはすでに別の物が握られていた。


一体いくつ持ってんだよ、アンタ…!


「ほう…?何か文句でも言いたげな目だな?」

「っ…いえっそんな!滅相もございませんっ!!」


平謝りでそそくさと机に向かう。

骨の髄まで染み込んだ負け犬根性に涙が出そうだ。


そして目の前に積まれた、明らかに平官吏が処理すべきでない書類の山に本当に泣いてしまった。


(何で俺がこんな目に…!)


思い返せば、数日前。

酒の席での酔った勢い。


『女装した李侍郎に一目惚れ』なんて、ウケ狙いでも暴露するんじゃなかった…!


自業自得!?だって仕方ないだろ!?

まさか紅尚書があんなしがない平官吏の集まりに来てるなんて…しかも聞いてるなんて思わなかったんだもんよぉっ!!


そしてあの時の『玩具を見つけた!』と言わんばかりの紅尚書の笑顔!

一生忘れられませんっ!!


『言うことを聞かなければバラすぞ。絳攸に。』なんて言われた日には言うこと聞くしかないだろ!?コノヤローっ!!

第三者なら笑い話で済むだろうけど、本人相手だと何かこう…微妙なことになるだろ!?コノヤローっ!!


「まぁお前の働き次第では、絳攸との仲を認めてやらなくもないぞ。」

「ちょっ、だから違うんですってば…っ!!」


あれは一時の気の迷いだったんだ!といくら主張しても聞く耳を持たない氷の長官。

そんな尚書に脅されながら、俺は今日も尚書室に閉じこもっているのだった。




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息子さんを僕にくださいっ!なんて言ってないしっ!

てか認められても困るんですけど!?

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嘘つき、ロンリー。