【誰かの好意を踏みにじってしまいました。文字通り。】番外編
※『数カ月経過』辺り。
及川は戸惑っていた。
「手紙?」
「うん、岩泉がもらってた手紙。…あれ、どうなったのか及川知ってるか?」
ここ最近で岩泉がもらった手紙といえば、及川が知る限り一通しかなく、その送り主は目の前の同級生だ。
なのでどうなったも何も、現在「お試し友人関係期間中」で結論は先伸ばしになっていることは当の白兎がよく解っているはず。
それとも、手紙そのものの扱いがどうなったのかを聞いているのだろうか?
(まぁ、岩ちゃんのことだから「捨てた」ってことはないだろうけど…かと言って「額縁に入れて飾ってる」ってこともないだろうし。)
流石にその保管方法まで把握していない、と苦笑混じりに答えようとしていた及川はふとそれに思い当たった。
実は岩泉はもう一通、及川が知らない手紙を誰かから受け取っているのかもしれない。
そして白兎はそれを知っていて、当然及川も知っているものと勘違いしているのだ、と。
(なるほど、「そういう場面」を目撃しちゃって、不安になってるわけか…それで俺にこうして探りを入れている、と。)
岩ちゃんってば本当に好かれてるねぇ、なんてこの場に居ない友人に内心茶々を入れていると、「及川?」と呼ばれてすぐに我に返った。
そして誤魔化すように笑顔を浮かべる。
「手紙、ね。多分断ったと思うよ?」
実際のところは知らないが、今の岩泉はどう見ても白兎の方に気持ちが傾いているので、その答えで間違ってはいないはずだ。
それに「もう一人の送り主」には悪いが、今のところ及川は白兎を推している。
「だから安心し」
「やっぱ、俺のせいかな…」
「え?」
てっきり喜ぶか何かするかと思えば、意外にも白兎の表情は暗い。
(いや、きっとそれだけ白兎は―…)
「…大丈夫。俺は白兎の味方だよ。」
「え?あ、うん?ありがとう…?」
ぽんぽんと白兎の背中を優しく叩きながら、さてどうやって岩泉の背中を押そうかと、及川はそのことばかり考えていた。
白兎の戸惑いには気付かないまま。
手紙の話〜及川の場合〜
(存在しない二通目)
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嘘つき、ロンリー。