白子と警官01


「天火さん達にはいつも世話になってるからなぁ…何かお礼をしようと思ってんだけどよ。」

「へぇ、それはいいことですね。」

「だろ!てことで、よろしくな!白兎!」

「…え?」


なんてやり取りから数時間後。

俺は今、酒やら何やらを詰め込んだ箱を抱えて、曇神社へと来ていた。


出来れば、来たくはなかった。


こういう時、立場が一番下というのは本当に厄介だ。

こちらの事情など一切考慮されることなく、何やかんやと面倒事を押し付けられてしまうのだから。


早く後輩が欲しい。


(何で俺が…いつも罪人を取り逃がしてるのは先輩達なのに…)


そうだ、世話になっている当人らが来なくてどうする?

これではお礼の意味がないのでは?逆に失礼に当たるのでは?


やはり今からでも引き返して―…


そう戸口の前で逡巡していたのが不味かった。


「いらっしゃい。」

「!?」


不意打ちだった。

背後から掛けられた声に反射的に振り返る。


そして真っ先に目に入ったのは、綺麗な白い、髪。


紫色と、目が合う。


「きん、じょー、さん。」

「うん?」


何か用事で外に出ていたのか。

柔らかく微笑みながら首を傾げる金城さんに、ふと我に返り、慌てて目を逸らした。


「天火達なら、今は出掛けているよ?」

「そう、ですか…」

「また罪人に逃げられた?」


俺の両腕にある荷を見れば用件は明らかだろうに、そう言ってクスクスと笑う金城さん。

からかわれた、と分かった瞬間、カッと頭に血が昇る。


身体中が熱い。


「っ…これ、うちの先輩達から、曇家の方々に…いつもお世話になっているので……」


本来なら天火さん、もしくは空丸くん、せめて宙太郎くんに渡すべきところだろう。

だが俺は一刻も早くこの場を立ち去りたくて、荷物を金城さんの方へと押しやった。


ただでさえこの人を前にすると緊張してしまうのに、今は顔を上げられないどころか言葉も上手く紡ぐことが出来なかった。


「本人達が来るべきなのでしょうが……改めて、挨拶に来させますと、金城さんから、伝え」


しどろもどろな話を静かに聞いていた金城さんが突然、荷を抱えた俺の手に触れる。

その瞬間肩が揺れ、思わず飛び退りそうになって、



「俺は、白兎君が来てくれて嬉しいよ?」







いろはにほれた


地面に落ちた荷箱から、酒やら何やらが飛び散っていた。

その中の一つを拾い上げ、白子はまた笑う。


「…逃げられたなぁ…」


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嘘つき、ロンリー。