白子と警官02


「先輩…やはり自分が挨拶に行くだけでは失礼だと思うんですが。」

「そうかぁ…じゃあ次の非番に俺達も顔を出すか。」

「それがいいと思います。」

「勿論、お前も行くよな?」

「え?」


なんてやり取りから数日後。

まさか本気だと思わなかった俺は、先輩達の非番に合わせてわざわざ休みを取らされ、今再び曇神社へと来ている。


ただ前回と違うのは、曇天三兄弟が揃って在宅していたため、割とあっさり迎え入れられたこと。

そして前回と変わらないのは、俺の立場が一番下だということだ。


きっと今頃、先輩達は曇家現当主と楽しく酒盛りしているだろう。

対する俺は曇家の台所に一人立ちながら、酒の肴を準備していた。


(もう『後輩が欲しい』なんて言わない…帰ったら即行で転属願いを出そう…)

そう静かに決意を固めていると、ぎゃーぎゃーばたばたと聞こえてきた足音にふと我に返った。

それと同時に台所に駆け込んできたのは曇家次男と同じく三男坊。


「白兎さん!今の!今のこばち!」

「小鉢?」

「うまかったんでもう一回お願いするっす!って天兄が!」

「こら!宙太郎!白兎さんに迷惑かけるな!」

「大丈夫だよ、さっきのならすぐ出来るから。ちょっと待ってて。」


代わりに今出来たばかりの皿を持って行ってもらおうと二人に背を向ければ、宙太郎くんが嬉しそうな声を上げる。

空丸くんは少し申し訳なさそうにしながら俺の隣に並んだ。


「すみません、白兎さん…やっぱり俺、手伝います。」

「いや、それじゃあ、お礼の意味が」

「空丸、宙太郎。」


と、遮る声に思わず肩が飛び跳ねた。


「二人とも、天火が呼んでいたよ。」

「兄貴が?」

「ここは俺が手伝うから。」

「「「え゛」」」


…俺はともかく、何故空丸くんや宙太郎くんまでそんな顔をするのか。

そう疑問を口にする前に、金城さんに言いくるめられて台所を後にする二人を見送る。


残されたのは俺と、……金城さん。


(しまった…)


「金城さん、も…休んでいて下さい。」


気まずくて、当たり障りなく遠ざけられないかと金城さんの顔を見ないままそう言えば、「俺はただの居候だから」と苦笑で返される。

近寄ってくる気配を感じて、必死に言葉を重ねた。


「自分から見れば、貴方も立派な曇の人間ですよ。」


そしてその瞬間、突然背後から抱きすくめられ、俺は心臓が止まりそうになった。






ちりにけるを


「…………ありがとう。」


赤くなったその耳元で、白子は小さくそう囁いた。


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嘘つき、ロンリー。