白髭海賊団と不死鳥の相棒02
その二人が対峙した瞬間、甲板上に緊張が走った。
今にも噛み付かんばかりに唸る火拳のエースと、いまいち何を考えているのか表情の読めない不死鳥マルコ。
恐らく海軍や他所の海賊らがこの光景を見れば、白髭海賊団隊長格同士の仲間割れを期待したことだろう。
だが、事情をよく知る白髭の船員達は口を揃えて言う。
“これはそんな単純な話ではないのだ”と。
そして、事をより複雑にする男が周りの空気も読まずに動いた。
「エース、ほら。」
たかが一言、されど一言。
一瞬躊躇して見せたものの、エースは白兎のその一言に促され、「ほらよ!マルコ!」と何かが入った紙袋をマルコへと押し付ける。
「こりゃあ何だぃ?」
「エースからマルコにプレゼントだそうだ。」
「プレゼント?いや、でもおれの誕生日はまだまだ先だよぃ。」
「ほら、覚えてないか?前にどこかの島であったじゃないか。『普段世話になってる人に感謝の気持ちを』。」
「そういえば、そんなのもあったっけねぃ…」
「だから日頃の感謝を込めて的な…だよな?エース。…エース?どうし、」
「タァァァァァイムッ!」
「ぅお、びっくりした。どうした、サッチ?」
「もう見ちゃいられねぇ!お前らの下手な小芝居のせいでエースのHPはゼロだ!ドクターストップを掛ける!」
「ドクターって、お前はコックだろぃ。」
「うるせぇぇぇぇっ!」
突如乱入したサッチは鎮火寸前のエースを急いで回収し、そして周囲に向けて集合を掛けた。
集まってくるのは各隊長格に、二番隊を中心とした有志が十数人。
それが一体何のメンバーであるかは言わずもがなである。
「しっかりしろ、エース!傷は浅いぞ!」
「いや…今回は結構深いんじゃねぇか?」
「エース隊長ぉぉぉぉっ!」
「一体いつの間に怪我を…?俺、全然気付かなかった。」
「ロギア系に深手を負わすなんて只者じゃねぇよぃ。」
「ちげぇよ!って、白兎とマルコは来なくていいんだよ!」
エースを囲む面々の中に問題の二人が紛れ込んでいることに気付き、それをシッシッ!と犬か何かのように追い払うサッチ。
何故自分達はダメなのか、本気で理由を解っていない二人はただただ首を傾げた。
「あ、もしかしてお前らもマルコにプレゼントか?その相談をしているのか?」
「おれ達どんだけマルコ大好きなんだよ!?」
「いやぁ、照れるねぃ。」
「だからちげぇっつーの!」
「仕方ないな…ここはまた俺が一肌脱いでやろう。ということでマルコ、その、何だ…あー……ちょっと倉庫の整理でもやらないか?」
「倉庫?それなら昨日……あー、そうだねぃ。仕方ないから手伝ってやるよぃ。」
「んな下手な小芝居はいらねぇから!さっさとどっか行け!」
そしてどうにかこうにか二人を遠ざけることに成功した頃には、すっかり疲れ果ててしまっていた面々。
だが可愛い末っ子のため、まだ休んではいられない。
さぁ、いざ第×回目となる作戦会議に臨もうとしたその瞬間、ふと誰かがあることに気が付いた。
気付いてしまった。
「あれ?ということはマルコと白兎、これから倉庫で二人っきり…?」
「「「「……………」」」」
小さな親切が致命傷
(くそぉぉぉぉぉぉおっ!!)
(落ち着け、エース!傷は浅いぞ!)
(いや…充分深いと思うが…)
(エース隊長ぉぉぉぉっ!)
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嘘つき、ロンリー。