宮治と恋人02


※高校卒業後。









食事を終えた後もなお、ぶつぶつと不満を漏らしながら居座り続ける侑、をとうとう力尽くで追い出した治。

すると、背後からくすくすと小さな笑い声が聞こえてきた。


「治さん、ほんまに侑さんに話してへんかったんですねぇ。」

「…俺の言うた通り、やかましくなったやろが。」


というか、ツムも双子ならもっと早く気付けや。

と苦々しく続けかけた治はふとこれまでのことを思い返し、言葉の代わりに重々しく溜め息を吐き出した。

双子だからと言ってあの侑が気付くわけがない、いやむしろ気付いたとしたらそれはそれで気色が悪い、と。


「なんや、もう疲れたわ…今日はこの辺で上がりにしよか。」

「はぁ、ほんならそうしましょか。」


そして治の言う通り、食器類を片付け始めた白兎の姿をちらりと確認し、治はもう一度そっと小さく息を吐き出した。



『プロポーズか。』



高校時代、渾身の告白を茶化されたあの瞬間、本当に殺意が湧いた。

挙げ句、当の白兎にもさらりと流されたことで怒り爆発、その後大乱闘を引き起こしたというのにどうやらあの片割れは覚えていないらしい。


双子の喧嘩などバレー部の名物と化するほど日常茶飯事だったため、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないが。


『治さん、約束通り持ってきましたよ。』


翌日、そう言って白兎が水筒を掲げてやって来なければ、恐らく今も侑のことを許していなかったと思う。

すぐさま周囲を見渡して近くに邪魔者がいないことを確認する治を、白兎は不思議そうに首を傾げながら見上げた。


『治さん?どないしました?』

『…昨日のあれ、割と本気やってんけど。』

『はぁ、やから俺も「ええですよ」って』

『やなくて。』


そして、もう一度、意を決した。




『お前のことが好きやねん。』

『俺も好きですよ。』




あ、とりあえずこれ、どうぞ。

と差し出された水筒を反射的に受け取った治はしばらく理解が追い付かなかった。


『……は?』

『今の表情、侑さんそっくりでしたわ。流石双子…って言うたらまぁ、あれですけど。』


何も言えないまま、ぽかんと目の前の後輩を見下ろしていると、ふと何かに気付いたらしい相手が頭を下げた。


『不束者ですがよろしくお願いします…ってなんや、改めて言うと照れますねぇ。』





「治さん?」

「…あれやな、何もかんもツムが悪い。」

「突然よう分かりませんけど、そら流石に侑さんが可哀想やないですか?」


腹でも減りました?と首を傾げる白兎に治は小さく笑い、「とりあえず飯にしよか」と応えたのだった。




そういうところが好き

(ほんなら急いで用意しますわ。)
(別に急がんでもええし。というか一緒に作ろか。)


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嘘つき、ロンリー。