甚爾と恵と恵の義兄01
※平和軸if設定。
※恵、中学時代。
※津美紀成代主。
実は自分だけ、父や弟と血が繋がっていない。
そう初めて知らされた時、俺は驚くよりも先にむしろ納得してしまった。
誰がどう見てもそっくりな二人に挟まれて日々過ごしていれば、子供ながらに違和感を覚えるのも当然のことだろう。
それよりも、だ。
『大きくなったら嫁にしてやるよ。』
『父さん、男同士じゃ結婚出来ないんだよ。そもそも俺達、親子なんだし。』
『そこは問題ねぇ。血は繋がってねぇからな。』
『え?』
言った本人にそのつもりはなかったのだろうが、あれは今でも酷いカミングアウトだったと思う。
ちなみにあの日から「父さん」に一字足して「甚爾さん」と呼ぶようになったものの、それ以外は特にこれと言って変わらず、三人でこれまで通りの生活を送っている。
ただ、甚爾さんはよほど娘が欲しかったらしい。
今でも俺に嫁がどうのと冗談を繰り返すので、一度だけ「じゃあ俺、将来パパと結婚しよっかなー」と笑って返したことがあるが、その時何故かマジギレした恵は本当に怖かった。
俺の弟は時々冗談が通じないので、少し困る。
「まぁ、俺は冗談で済ますつもりねぇけどな。」
「甚爾さん?何か言った?」
「いや、別に?」
「ただい、ま……」
がちゃ、と玄関のドアが開く音がしてそちらを見れば、そこには噂の弟の姿。
買い物を頼んでいたためその両手は荷物で一杯で「お帰り、恵」とそれを受け取ろうとしたが、残念ながら俺は立ち上がることが出来なかった。
「買い物ありがとな。後で片付けるから荷物は台所に置いといてくれ。」
「………おい、それ…」
「それ?って?」
「背中の、そいつ。」
何やら怖い顔をしている恵は一体何を言おうとしているのか。
俺の背後には甚爾さんがいるくらいで、他は別に何もないはずだ。
まぁ、その甚爾さんが洗濯物を畳んでいる俺の肩に顎を乗せ、俺を抱き込むように座っているせいで身動きが取れないわけだけど。
「よぉ、恵。酒は買ってきたか?」
「…てめぇ…ここで何してやがる…?」
「あ?ここは俺の家だぞ。帰ってくんのは当たり前だろうが。」
「数日振りに、だけどね。甚爾さん、仕事が忙しいのは分かるけど、あんまり無理しないでくれよ?」
「可愛い嫁とガキが待ってんだ、無理もするだろ。」
「っ、誰が嫁だっ!誰も待ってねぇよっ!」
というか、いい加減白兎から離れろ!とすごい剣幕でずかずかとこちらにやって来る恵。
中学に上がって反抗期を加速させ、『東中の狼』なんて呼ばれていたりもするが、最近特に甚爾さんへの当たりが強くなったように思う。
だけどその途中、荷物をきちんとテーブルの上に置くのを忘れない辺り、根は真面目なやつだ。
「白兎も!いい加減危機感を持ってくれ…!」
「危機感?…あ、もしかして、呪霊がこの部屋に…?」
「いねぇよ。いたとしても俺の白兎には指一本触れさせねぇから安心しとけ。」
「だから!てめぇのじゃねぇって何度言えば…!」
俺の腕を掴み、甚爾さんの腕の中から俺を引っ張り出そうとする恵だが、対する甚爾さんはびくともしない。
代わりに「白兎が真っ二つになってもいいのか?」なんて、不穏なことを言って笑いながら随分と楽しそうだ。
そんな二人に挟まれて日々過ごすことに慣れてしまった俺は、そろそろ夕食の準備をしなければ、と考え始めるのだった。
かぞくごっこ
(折角畳んだ洗濯物達が崩されるまで残り5秒)
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嘘つき、ロンリー。