捜査一課
人気の少ない路地裏に男女が潜んでいた。夜であった、周りは薄暗く住んでいるものも近くにはいない。逢引でもしているのかと思う者もいるだろうしかし違った。ただ異質な存在である物が彼女の手に。そして男は涙を流しながら土下座を。もし第三者が居れば警察を呼ぶか逃げ惑うだろう。後の被害者と加害者の姿がそこにはあった
「たすけてくれ…」
と、しかし女は手に持つ異質な黒い物体、つまりは銃を相手の眉間に押し付けている。男は震えていた、引鉄を引かれるとそれは死を意味する凶器を眉間に当てられていたからである。ガタガタと震え何とか命を長引かせようとするのは本能か、それか人間の意志かそれさえも分からない。女は黒のスーツを着こなしそんな哀れで可哀想な怯える男に笑いかけ話し掛けた
「怯えないでかわいいチェリーくん」
チェリーつまりは童貞を意味する言葉を股間を濡らし涙ながらに助けてくれ!と助けを乞う憐れな男に投げ付け、引鉄を引くと男の頭から鮮血が辺りに散らばる。女はそれを見ると、チェリーのマークが入ったカードをまた生暖かい彼の横に置いて足を引きずりながら去っていった
「またか」
死体を見て眉間に皺を寄せると吐き付けるように呟いた。死体の横にさくらんぼの絵が描かれたカードが置かれていて毎日の様に行われている連続殺人と同一犯という事が見て分かった。連続殺人事件にはいつもカードが殺人現場に置かれていて内容はいつもさくらんぼ。噂では殺し屋が依頼されて殺していると言う馬鹿な噂も流れているがそんなわけは無いと考えていた
「尾形さんこれどう思います?」
名前を呼ばれた尾形百之助はブルーシートを死体に被せ離れると同僚である谷垣源次郎の元へ向かう。彼が居るところは死体から五十m離れた場所でありそこに座り込んで何かを見つめていた
「これなんですけど…」
彼が指を指したところにはコンクリートが剥げており地面が剥き出しになっていた。その地面に何かを引きずられた跡が残っており跡の中に白い粉が擦り付けられたかのようになっている
「引き摺られた跡は分からないが白い粉は…分からないな鑑定に回してみるしかないな、しかし何故こんな所に」
無表情で考える尾形に谷垣は恐る恐る口を開いた
「もしかしたら馬鹿な話だと笑われるかもしれませんが」
尾形はその言葉に御託はいいから早く喋れと目で訴え谷垣を急かすと観念をしたのが口を開いた
「今回の殺人犯は人間ではないと噂されているんですよ」
「あ?何を馬鹿なことを…」
何を世迷言を言っているのかと顔を見ると真剣に言う彼の姿を見て嘘を付いているとは思えなかった
「おい、急げ谷垣」
「急いでいますって!」
警察署へ戻ると会議の為に急いで会議室へ向かう扉の横には××市殺人事件対策本部と書かれており扉を開くと他の者は集まっていたのか無数の目が尾形と谷垣へ向かれていた。指定の席へ座ると鶴見署長、月島副署、捜査課、鑑定課など事件に携わる者たちが集まっており、それぞれ真剣な眼差しで前を見つめていた。谷垣は手帳を開き尾形は面倒そうに前を見つめている
月島副署は周囲を見渡すと口を開いた
「今回の殺人事件について××市で起きた五件の殺人事件と新たに発生した殺人事件は同一犯とみなす事に決定された。このボードに示しているように類似点が多く、極めつけはこのカードが現場へと落ちていることだ。被害者はモブ田モブ男二十六歳住所不定無職と判明、死因はいつものように眉間を銃殺されていた。弾薬は9x19mmパラベラム弾、これについてはどこで入手したか調査中である」
マークが付いたカードのコピー写真を指しながら言う
「これについて何か異論はあるか?」
沈黙が辺りに立ち込め約一分は経過すると月島副署は口を開く
「今回の事件について報告を頼む」
谷垣が見つけた引きずった跡以外には特に変わった報告はなく手詰まり状態となり、死因は眉間による銃殺、置かれたカードそれしか手掛かりは出なかった
会議が終わり皆神妙な顔をして去っていく中、尾形は立とうともしなかった
谷垣が不審に思い声を掛ける
「どうしたんです?」
「いや、ちょっと気になることが一つ思い付いただけだ」
気にするなと重い腰を上げた彼に首を傾げながら谷垣は着いていく
「殺人犯狩りだぜ」
谷垣は悪どい顔をして言う先輩を見てどっちが悪党なんだが分からないなと苦笑いをした