FBI捜査官がトリップ


FBI捜査官のななしのごんべえは長官の私室へ呼び出されていた。このことは誰にも知らされてはいない。極秘に守られた秘密の任務のために呼び出されていた。日本人でありながらも優秀な人材である彼女だからこそ呼び出されている。人種差別主義者であった初代長官が明るみに出ていたからか日本人も今では在籍が出来るようになっていた。なんとも皮肉な事だろうか。真珠湾攻撃後に日系アメリカン人を強制に拘束していたことを知っていたため何とも言えない。

「やあ、よく来てくれた。呼び出したのは例の任務の事だ。分かっているね?」

「…はい。家族には私は居ないように考えてくれと伝えました。悔いはないように全てを話してきたはずです。」

任務の事は話していない。話しても止められるだけだ。それにこれは私の意思でもある。

「本当にいいのかね?戻ってこられる保証はないのだぞ。…正直に言うと君でなくても」

女と同じくらいの娘がいる事を聡明であるごんべえは知っており、そして自分の娘と重ね合わせて長官が心を痛めている事をまた知っていた。罪悪感を感じているのだろう。そして断れば他の者に頼む事も知っている。他の人に行かせるぐらいならば…

「いいえ、長官。私は自分の意思で選んだ事です。例え戻れなくても自分で選んだ事。何も悔いなどありはしません。それにこれが成功すれば…曾祖父さんの、悲惨な過去も…全て無かったことになるはずなので。」

目を閉じて、戦争の悪夢に魘されながら死んだ姿を思い出しながら言葉を紡ぐ。あれは悲惨な出来事。戦争のド真ん中に居るらしく、必死に戦友の名前を叫び目に光が無くなった姿を未だに覚えている。曾祖父さんは精神病棟に死ぬまで入院させられて故郷の変わりゆく姿も見れずに死んでいく姿。曾祖父さんはとても素晴らしい人だった。いつも微笑みを浮かべ私を見てくれて、穏やかな人だったのだ。

ごんべえの姿は健気でしかし何処か決意を秘めた眼差しを長官へ向けながらそう言った。

「…君の意思を尊重しよう。」

諦めたように床に目を落としてそう呟いた。彼女はまだ光り輝く未来があるというのに何故なんだと苦悩しながらも事務的に話していく。任務の内容を機械的に冷徹にそして哀れみをこめて。ネットワークを通した過去への介入。人が魂と判断している意識を取り込み送り付ける。テストもまだしていない。つまり彼女が最初のモルモットである。日本人の彼女が選ばれたのは、第二次世界大戦前の日本に送るため。同じ人種、同じ言語を使う人が好都合であった。そして、彼女の任務内容は第二次世界大戦を止めること。そんな無謀なミッションに彼女は命を掛けるのだ。

長官はもう彼女が戻れない事を察していた。口にしても彼女は止まらないだろう。過去を変えるなんてそんなものは御伽噺の話なのだから。どうか彼女を救いたまえと神に祈りを捧げた。







FBI捜査官ななしのごんべえさんが金カム世界へトリップする話。軍人♀ちゃんと比べて冷静で場の状況を判断をしながら行動する。格闘向きではないが判断力で戦闘をカバー。という設定