離れに戻る時に掃除用具を発見。箒とバケツ(なんか本丸には不釣り合いな気が…ま、いっか)と雑巾を持って離れに戻り、さっさと掃除した。

物が少ないし殆ど使われた形跡が無かったからすぐに終了。空気もだいぶ入れ替わったし、昼寝するのに持ってこいな場所だけれど、今はそんなことしてる場合じゃない。

手入れ部屋も同じく埃は酷いものの散らかり具合はそうでも無かったため、すぐに終了。

次にやるのは風呂、厨、厠の掃除だ。
ここも刀剣男士との鉢合わせがあるだろうけど、私だって女だ。お風呂には入りたいし、料理だってするし、厠は必須。まずは日常で必要なところから掃除しなくては。

ってことで、小スペースの厠から。汚さのレベルは…言わないでおきたいけれど、強いて言うならハンカチでマスクを作っても尚臭いに咳き込むくらい。



『(空気悪すぎ…)』



消臭アイテムがほしくて堪らない。あとでこんのすけに頼もう。


そしてお風呂。水垢が酷い。
白く凝ってるそれらに水を撒いてひたすらブラシで擦った。



『(明日は筋肉痛かな…)』



粗方やり終わって最後に水で汚れを流したら、さっきまでの白さが嘘のように綺麗に光っていた。普段から掃除するようにしよう。

流石に疲れて伸びをしたら腰がポキポキ鳴った。
ああ、今日でだいぶ寿命が縮んだらしい。


さぁ、次は厨だ。日本家屋らしいそこには竈があり薪も脇に積まれているけれど、いつから使っていないのか蜘蛛の巣が張っている。
竈の上には鍋があり、蓋を開けて後悔した。



『(せめて洗ってから放置してほしかった…)』



青とか白とかケバケバフワフワしたモノがこびりついていて、とてもじゃないけど素手で触るのは憚られた。
けど、どこを探しても手袋なんて物は無いので(バケツはあったのに…)、仕方なく素手でさっと洗って外に放置。もちろん鍋以上に手も洗った。
こんのすけに石鹸と新しい鍋も持ってきてもらおう。


と、ここまで順調に掃除をし終わった頃には夕方になっていた。時間が経つのは早い。

時間を確認して気づいたのは、今日は朝から何も食べてなかったということ。
でもこの本丸の汚さを見て一度でも食欲が沸いたかといえば答えは否。それに食材は今のところ何も無いため、空腹だろうと何も口には出来ない状況だ。

だからって飲まず食わずでいるのも身体に悪い気がしたから、所持していた柚子の飴玉を一つだけ口に放った。

疲れた時は甘い物。これが一番至福の時だと思う。



『(今日は休もう…)』



まだ空は明るいけれど、疲れてるからか眠くて堪らない。早々にお風呂に入り、離れに戻って横になる。因みに布団は汚くて使いたくなかったため、畳の上に雑魚寝して上着を掛け布団代わりにした。
こういう時は、良いとこ育ちじゃなくて良かったと思う。



『……おやすみなさい』



今日はお疲れ様。と、ずっと見張っていた二人に向かって呟き、私は意識を闇に沈めた。


 

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