薬研と鶴丸は一度、私を主として認めたことを他の皆様に報告すると言って広間へと戻っていった。それを聞いた皆様がどんな反応をするのか…それはわからないけれど、拗れるのだけは勘弁だなぁと思いながら私は離れに戻った。

襖を開けるとぽつんと置いてあったコンビニの袋。何かと思えばメロンパンと緑茶だった。
ああ、朝ごはん、まだだったっけ。縁側で桜を眺めながら食べるとしよう。

大太刀を隣に立て掛けてメロンパンをパクリ。サクサクのクッキー生地と中のフワフワの歯応えが絶妙で美味しい。

半分ほど食べ進めたところで何となく思ったのだが、この大太刀には名は無いのだろうか?呼び方に困ったので、再び携帯鏡で真黒さんに繋げて聞いてみた。



真「もう使ったの!?はっや!」


『なかなか使い勝手が良かったです』


真「あー、一応クロが使いやすそうなのを選んだからねぇ。それにその大太刀、クロのとこに行きたそうな感じだったから」


『?…じゃあ、この大太刀も他の刀剣男士みたいに顕現させること、できますか?』


真「まぁね。そもそも刀剣男士は刀が使われていく内に人々の思いによって具現化した付喪神だ。今すぐではないけど、その大太刀だってクロが使っていけばだんだんと力を蓄えて顕現出来るようになるよ」


『ふーん…。名前はあるんですか?』


真「残念なことに、それは無銘なんだ」


『無銘…』


真「うん。だからクロがつけてあげなよ」



名前もあれば余計に愛着が湧くってモンでしょーなんて笑って言う真黒さんから視線を大太刀へと移す。
名前か。私が与えて良いものなのかはわからないけれど、考えておこう。

通信を切り、残りのメロンパンを食べながら、とりあえずは名前も考えつつ次の仕事をしようかとボックスに向かう。ここも掃除しないと…。

そこには、今朝は無かった真新しい掃除用具やら畳や襖が届いていた。さすがこんのすけ、お仕事早いね。今度油揚げでもあげよう。

これらが届いているならやるべきことはただ一つ。

大太刀を手に私はこの本丸で尤も近づきたくないあの部屋へと向かった。


 

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